今年は日中国交正常化50周年。そんな大切な節目に、晋鸥芸術学院及び中国文化センターの共同開催による「晋鸥来日30周年記念師生書法篆刻展」が11月5日から10日まで東京中国文化センターにて盛大に行われました。
晋鸥氏は来日30年以来、初心を忘れず書法、篆刻の研究発展と伝授を続け、日中両国の書道芸術の交流推進に大きく貢献し、芸術を通して真の両国を結ぶ架け橋となりました。
そこで今回は、これまでの晋鸥氏の功績や今日に至るまでの経緯について晋鸥氏本人にインタビューをしてきました。どうぞご覧ください。
■プロフィール
名前:晋鸥(号)蒼茫山館
中国浙江省桐郷古鎮生まれ
中国浙江省桐郷君陶芸術院学芸員
日本東京学芸大学書法専攻修士
中国暨南大学文芸学博士
【日中国交正常化50周年記念】初心を忘れず書道・篆刻展を開催!
━━今回、書道篆刻展を開催した趣旨を教えてください。
晋鸥氏:私の新たな道なる旅路が始まったのは1992年5月。中国の上海からを離れ、成田空港に降り立ちました。それ以来、幸い日本で沢山の同じ芸術仲間や親友に出会い、皆さんに助けられたおかげで大きな苦境もなく30年経ちました。
2005年に晋鸥芸術学院を設立し、主に日本の方々に書道、篆刻、絵画などを教えました。少しでも多くの人々に日本と中国の共通の書道文化を広め、交流を深めたいと思ったからです。近年は、日本に住んでいる華僑華人がだ徐々に多くなり、そのなかには書道を習い事や趣味として学ぶたいと始める人が増えてきました。
歴史において書道は日中、アジアの国々の交流を促し、友好化を図るのに最適な手法です。それは書道が中華民族にとって至宝の文化芸術遺産であり、日本人にとっても貴重な文化芸術であるからです。
今年は日中国交正常化50周年という記念すべき年でもあるので、両国のお世話になった人々に感謝の気持ちを込めると同時に、両国の相互理解とこれからの更に発展できるように願いを込めて、皆さんのご協力のもと、今回の書法篆刻展を開催することになりました。
この作品に書いてあるように“愿你出走半生,归来仍是少年”「故郷を離れ人生の大半を過しても、少年のような真心には変わりがない」。
故郷で身に着けた伝統文化を忘れることはなく、継承して書道芸術を究め、故郷への思いを深めると同時に初心を忘れず、これからも日中民間交流を推進していく気持ちを綴ったものであります。
書道・篆刻書籍を出版し、日中文化芸術交流に貢献!
━━━これまでに先生が出版された書籍について教えてください。
晋鸥氏:今回『晋鸥来日30周年記念師生書法篆刻作品集』を出版しました。この作品集には晋鸥書道7点に日本と中国の学生達の優秀作品50点を掲載指定ます。
これまで出版したのは下記です。
『晋鸥書画篆刻展』
『晋鸥書画篆刻集』
『晋鸥在日十五周年書画篆刻作品集』
『晋鸥篆刻般若心経』
『呉昌硕匾额書法集』
『海外蔵中国書法名跡集』
『晋鸥小楷心経』
『東瀛歳月―晋鸥来日二十五年その芸術日本において』
『东瀛年月一一晋鸥日本で歩んだ二十五年にわたる芸術の道』
今回の展示会には、晋鸥先生の書法及び篆刻20点以外に、晋鸥氏の著書25冊も展示しています。
書道・篆刻を通して日本と中国の架け橋に!
━━━先生は中国と日本両方で書道と篆刻を教えていらっしゃいますが、日本と中国の書道の違いとはどのようなものでしょうか?
晋鸥氏:まず中国の書は、伝統を大事にしています。古典の骨組みに沿って習います。中国の書道は先人が頂点を極め、それに習うのが基本です。何百年に一人あと言われるような異才でない限り、これを覆すことはできないでしょう。
それに対して日本の書道の特徴は、自由で装飾的な芸術性を重んじ、パーフォーマンスアートのようなものであることです。
日本の書道のはじまりは600年代。中国から日本へ漢字が伝わり、その後、仏教が伝わったことにより、写経が行われるようになりました。
さらに、紙や墨が伝わったことによって、本格的な書道が日本でも盛んになりました。しかし、日本の書道は完全に中国の書道を真似しているのではなく、独自の発展を遂げてきた背景があります。
日本に来てびっくりしたのは、書道を愛し書道を習う人が人口の7%もいたことです。今は愛好家が少なくなっているものの、それでも人口の5%が書道を愛しています。日本には華僑華人が100万人いると言われていますが、書道を習う人はごく僅かで何百人程度。日本に来たばかりの頃は生活が安定してないので伝統文化を身に着ける余裕がなかったでしょう。そこで私は無料で書道篆刻の公益講座をはじめることにしました。おかげさまで現在も講座生が少しずつですが増えています。
「晋鸥来日30周年記念師生書法篆刻展」東京開催において多くの著名人が祝辞、来場
━━━東京開催において多くの著名人が祝辞、来場しました。少しお言葉を頂けますでしょうか?
晋鸥氏:本展の開催にあたり、中華人民共和国 駐日本国大使館 全権特命大使の孔鉉佑氏、日本元首相 鳩山由紀夫氏から祝辞を受け賜り、大変光栄に思います。韓天衡先生からも題字を頂き、誠にありがとうございました。また、東京中国文化センター羅玉泉センター長からは、多大な支援を頂き、深く感謝を申し上げます。
ほか開幕式には多くの日本人の書道家の友人、そして在日華僑華人書道界の皆様や各方面の関係者200名以上の方々にご来場いただきました。本当にありがとうございました。5日間の会期でしたが、遠方からわざわざ足を運んでくださった皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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