ここ数年全国各地で台風や豪雨が相次ぎ、河川が氾濫し、甚大かつ深刻な水害に見舞われています。このような大きな被害の発生によって、各地ではハザードマップの普及と水害防災に注意喚起を行っています。
それでは日本において災害弱者である外国人は、水害にどのような認識をもち、いざとなった時はどう対応すれがいいのでしょうか?そこで今回は、外国人の水災に対する危機管理についてご紹介します。
【外国人の水災に対する意識はどんなものなのか?】
ある調査グループが「外国人居住者」の防災意識の現状を把握することを目的として、河川水害に対する意識アンケートを実施しました。すると、結果は次の通りでした。
1) 水害に対する意識の高さは、外国人と日本人の間ではほとんど差がみられなかった。
2) 外国人は日本人と比べて水害に備えておこうという意識(自助意識)は高かったが、身の回りで洪水が発生する可能性に対する意識が低かった。
3) 国籍別にみると、中国人の意識が他の国の人と比べて低かった。
このように、外国人の水災に対する意識は低くないものの、身の回りで起こるかもしれないという危機感に欠けていることがわかりました。
【命を守るための避難行動や災害発生時情報収集方法】
外国人は「災害弱者」として孤立してしまう!?
外国人居住者の中で、特に留学生や技能実習生の方々などは、一人暮らしかつ身寄りのないケースが多いです。よって、災害発生時にはすぐに避難できる所がなく、また的確な情報が得られず、いわゆる「災害弱者」として孤立してしまう可能性が高いのです。
今多くの自治体では、外国人居住者の方々に対して、災害から命を守るための避難行動や災害発生時における情報収集方法等について分かり易く解説した資料を多く作成しています。その中から、外国人居住者の方に覚えておいてほしい行動を下記にまとめました。
外国人居住者に覚えておいてほしい「避難行動」の具体例
下記は外国人居住者に覚えておいてほしい避難行動です。日頃から確認しておくことをお勧めします。
・身の危険を感じたら、すぐに近くの安全な場所(友人宅、学校、職場など)に避難する
・日頃から避難先を確認しておくこと
・災害発生時に状況や必要に応じて開設される「自主避難所」の利用方法や留意点についても把握する
・情報の収集手段として、住んでいる場所のハザードマップを確認する
・最新の気象、避難情報が配信されるところの登録方法を示すQRコードを確認する
・「多言語化防災サイト」や損保協会の「外国人向け 安心・安全支援Webサイト」から情報を確認する
・契約している住まいの保険(火災保険)が水災が補償される内容となっているか?を確認する
【まとめ】
外国人居住者は災害時の弱者で、要援護者であります。現在の日本における急激な気候変動において、外国人居住者は水災意識と警戒を高める必要があります。
家庭や地域での日頃の備え、地震・火災・風水害等が発生した時のそれぞれの対策、避難する際の留意点、避難施設の一覧や市から発信する様々な防災情報の入手方法など、幅広い情報を把握しておきましょう。
【参考資料】
▼災害時に必要な情報は下記からご覧になれます▼
→災害時に必要な情報はこちら
■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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