台風についての知識と防災のための準備方法

今年は例年に比べて高温が続いており、猛暑日(35度以上)は過去最多を記録しました。加えて、お盆期間中に台風に関するニュースを数多く見かけた方も多いと思います。今回は日本にいるとこの時期によく耳にする台風の豆知識や、台風に備えた防災準備などについて紹介したいと思います。

1【台風とは?どうやって発生するの?】

台風とは、西太平洋地域で発生する熱帯低気圧のことを指します。これは、日本だけでなく、東アジアや東南アジア諸国でも頻繁に発生します。一方、北太平洋東部、北大西洋、カリブ海、メキシコ湾などで発生する台風のことをハリケーンと呼びます。台風とハリケーンは、どちらも熱帯低気圧と呼ばれる大きな気象現象であり、構造的に非常に似ています。両者の名前の起源ですが、台風は中国語の「颱風」(たいふう)が語源で、日本や中国などのアジア地域で使われます。一方、ハリケーンはカリブ先住民の神「ハラカン」が語源とされ、アメリカやカリブ諸国で使われます。

では、台風はどのようにして発生するのでしょうか。赤道付近の暖かい海水から発生します。海水の温度が高いと、水が蒸発して空気中に水蒸気が増えます。水蒸気が冷やされて雲となり、雨として降る際に熱が放出されます。この熱が周りの空気を温め、風の上昇気流を生み出します。この上昇気流が続くと、気圧が低い渦が形成され、台風が発生します。

2【台風の名前についての豆知識】

―アメリカとアジアでは台風名の名付け方が違う

アメリカ気象当局は、「ハリケーン・カトリーナ」「ハリケーン・マイケル」などハリケーンに人名を名付けます。日本では、台風1号、2号などと号数で呼ばれることが多いですが、他のアジア諸国では「アジア名」と呼ばれる呼名が割り当てられます。

この名前は、国際組織「台風委員会」に加盟している14の国や地域が提案した各10個の呼び名、合計140個のリストから順番に繰り返しつけられていています。このアジア名の命名を担当しているのは、世界気象機関(WMO)に指定された地域特別気象中枢(RSMC)である日本の気象庁です。リストはおおむね5〜6年で一巡しますが、2023年6月の時点では4周目の終盤、アジア名がつけられた台風は500個を超えました。

3【1951年から2021年までの台風発生状況について】

国土技術研究センターによると、気象庁が台風の統計を開始した1951年から2021年までの71年間で、年平均26.1個の台風が発生していると発表しました。発生個数は年によってばらつきがあり、最も台風の発生が多かったのは1967年(昭和42年)の39個、最も台風の発生が少なかったのは2010年(平成22年)の14個、月平均で台風の発生回数が一番多いのは8月とのこと。また台風が日本に接近した回数は、1951年から2021年までの71年間で年平均11.5個、上陸したのは年平均2.9個でした。なかでも2004年(平成16年)は、この71年間で最も多い19個の台風が日本に接近し、うち10個の台風が日本に上陸しました。

―2023年の日本の台風状況は?

2023年4、5、6月に1回ずつ、7月3回、8月は2回と合計8回(8月23日現在)、上陸数は1回と、数字だけ見たら例年よりも少ない傾向ですが、なぜ今年もこんなに台風のニュースが目立ったのでしょうか。それは台風の勢力が強く、台風が温帯低気圧までに変わるまでの時間が長いため、被害範囲が広がったからです。例年であれば中国大陸に上陸する前に勢力が落ちるところ、今年は低気圧が台風のまま上陸し、中国国内でも水害などの災害が多発しました。

4【台風の強弱について】

台風の強弱は台風の最大風速、中心気圧、風域の広さから判断できます。

最大風速: 台風の中心付近で観測される最大の1分平均風速を指します。風速が高いほど、台風の強さが高いとされます。

中心気圧: 台風の中心部の気圧を指します。◯◯◯ヘクトパスカル(hPa)という単位で天気予報でも報道されますが、中心気圧が低いほど、台風の強さも高いとされます。

風域の広さ: 台風の影響を受ける地域の広さも、台風の強さを評価する要素として考えられます。

―台風の強さ・大きさは階級分けされている

気象庁で定義されている台風の階級は下記の通りです。

台風の階級 台風の最大風速
レベル1:強い 33m/s以上・44m/s未満
レベル2:非常に強い 44m/s以上・54m/s未満
レベル3:猛烈な 54m/s以上

 

大きさの階級分け

階級 風速15m/s以上の半径
大型(大きい) 500km以上~800km未満
超大型(非常に大きい) 800km以上

出典:気象庁

台風が発生した場合、上記の情報を見ればどれくらいの台風なのか判断できるでしょう。

5【台風対策の基本的なステップ】

台風が接近する際には、しっかりとした準備と防災対策が必要です。以下に、台風対策として行うべき基本的なステップを記します。

・事前情報の確認: 台風の進行状況や影響範囲を確認するために、テレビ・ラジオ・スマートフォン・パソコンなどから、気象庁、天気サイト、自治体などのホームページ、SNSサイトなどにアクセスし、最新の天気予報や警報・注意報、避難情報を確認してください。特に外国人の方で日本語に不安のある方は、予め他言語対応可能なサイトを探したり、自身の出身国の在外公館(大使館、領事館)のSNSなどをフォローしたりしておくことをお勧めします。また内閣府の防災情報のページでは、日本での災害情報の発信についての説明資料を15言語で作成しているので、事前に確認しておくことも大事です。

・避難場所の確認: 住んでいる地域の避難場所や避難経路を事前に確認しておきましょう。海抜が低い地域や山や崖の近くなど、洪水や土砂災害のリスクが高い地域では、避難判断を早めに行うことが重要です。最近では大雨で外の警報やサイレンが聞こえないというケースも多いと聞くため、ネットで随時情報を確認することも大事です。

・避難グッズの用意: 家に最低1個は避難バッグを用意しましょう。中身は缶詰や賞味期限が長い保存食、水、ホッカイロやブランケットなどの防寒具、ライト、ラジオ、軍手、携帯用トイレ、電池、薬などの常備薬などを用意しておくのが一般的です。特に最近ではスマートフォンを使って情報や連絡を取ることが大事になるので、携帯用バッテリーなどは必需品です。

・窓や扉の確認: 台風では強風で色々な物が飛んできて窓ガラスなどが割れてしまう可能性があります。予防策として、シャッターや雨戸を閉めたり、窓ガラスにテープを貼ったりしてください。また、窓や扉の鍵をしっかりと閉め、風や雨が侵入しないようにしましょう。

・屋外の物の確保: 屋外にある鉢植えや物干し竿、自転車など、飛ばされやすい物を室内に運び込んだり、固定したりしてください。

・防災アプリのインストール: 事前に防災情報を提供するアプリをインストールして、避難勧告などの情報を受け取れるようにしてください。特に外国人の方は多言語対応しているか確認し、必要に応じて日本語の辞典などもインストールしておくと安心です。

・家族との連絡: 台風が接近する際には、家族や親しい人との連絡手段を確保しておいてください。台風によって臨時で予定が変更される場合や、避難をすることになった場合の避難場所など、家族と情報を共有してください。

・危険な場所に行かない:当たり前ですが、台風が近づいている中で不要不急の外出は絶対にNGです。物珍しさに外出したり、川に近づいたりしたら命の危機に直結します。台風が珍しい気持ちも分かりますし動画を撮りたい気持ちも分かりますが、台風の時は落ち着いて自宅で待機しましょう。

台風発生の仕組みを知り、台風の予測情報を確認して、防災対策を行うことで、台風による被害を最小限に抑え、安全に過ごすことができます。

皆さんも台風の接近時には十分な注意を払い、安全を確保してくださいね。

 

 

【参考資料】

国土技術研究センター 台風の進路にある日本

ウェザーニュース 台風の名前はどうやって決める? 日本など提案のアジア名140個の呼名リスト

国土交通省気象庁 台風の大きさと強さ

内閣府 防災情報のページ外国人への災害情報の発信について(15言語対応の説明資料)

プロが厳選!防災カバンに入れておくべきアイテム10選

国土交通省気象庁 自分で行う災害への備え

台風の前にやっておくべき対策

 

 

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