実際に取得して就労している人はどれくらい?
という疑問の答えとなる、アンケート結果が発表されました。
アンケート結果では、「特定技能ビザに対する関心は高いものの、取得を希望する人は全体の約4割」という回答が出ました。
この記事では、
・特定技能について
・アンケートでの質問と回答内容
をもとに、日本で働くベトナム人の現状について紹介します。
日本で働くベトナム人が増加中
出典:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和元年 10 月末現在) 図2 国籍別外国人労働者の割合
日本で働く外国人は、年々増加しています。
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)のデータによると、中国が418,327人と最多。次いで、ベトナムが401,326人。フィリピンが179,685人でした。
なかでもベトナムは、前年と比較し26.7%増加しており、各国と比較して最大の伸び率です。
このことから、日本で働く外国人で一番増加傾向にあるのは、ベトナム人だということがわかります。
では、日本での就労希望者が多いベトナム人は、どのようなビザで何の仕事に就いているのでしょうか。新しい在留資格である特定技能とあわせて、みていきましょう。
特定技能は、労働を目的とした新しい在留資格
新しい在留資格として2019年4月に作られた「特定技能」。
特定技能により、人手が不足している産業を中心に、外国人が就労できるようになりました。
日本の技術を学び、途上国での発展へと繋げる「技能実習」の資格とは違い、特定技能は労働をメインとした在留資格です。日本国内での労働力を確保するために作られた在留資格なので、特定技能よりも幅広い職種での労働ができるところが特徴です。
特定技能についての関連記事▼
今後、日本での外国人労働者の受け入れが盛んになることが予想されます。その理由は、「新たな在留資格」の制定にあります。 平成29年4月に施行された改正出入国管理法で特定技能というものが新設されました。これは、外国人にとって「新たな在留資格」とも言える内容であり、今後ますます外国人労働者の流入...
2019年5月30日に公布が決定した「特定活動」。この新制度により、外国人留学生の就職先が拡大し、より多彩な業務領域へチャレンジすることが可能になりました。今回は、特定活動として外国人を雇う場合、企業側にどのようなメリットがあるのかを解説します。 外国人の在留資格の種類 外国人が日本での...
特定技能取得者1位は、ベトナム
特定技能の資格をとる外国人は、少しずつ増加しています。
出入国在留管理庁のデータによると、特定技能1号在留外国人数は、2019年12月末時点で1,621名。取得者が一番多い国はベトナムで、901名でした。
特定技能ビザ取得者の主な就業先は、製造業
特定技能ビザを取得した外国人が、実際に就業している職種TOP4を紹介します。
2位 農業292人(18%)
3位 産業機械製造業198人(12%)
4位 素形材産業193人(12%)
製造業が圧倒的1位で、なかでも飲食料品に関わる工場での就職が主となっています。次いで農業と、作り手として就職する外国人が増加しています。
ベトナム人を対象に、日本での就労ビザに関するアンケートを実施
特定技能ビザ取得者が一番多いベトナム人を対象に、「日本の外国人就労ビザに関する意識調査」について、行政書士法人Climbがアンケートを実施しました。
名 称: 日本の外国人就労ビザに関する意識調査
実施時期: 2020年3月
対 象 者 : ベトナム人
調査人数: 78名(男性23名、女性45名)
調査年齢: 10代から30代(10代:10名、20代:65名、30代3名)
調査方法: インターネット(Facebook上でのアンケート)
アンケートでは、就労ビザに関してどれくらい知っているか、就業を希望する業種などを質問。
回答では、特定技能に興味はあるものの、取得を希望する人は全体の4割程度という結果がでました。
特定技能という新しい在留資格が取り入れられたものの、実際に浸透していないことは、厚生労働省のデータでも明らかです。
日本で働く外国人のうち、特定活動のビザで就労している人は全体の2.5%です。
出典:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和元年 10 月末現在) 図3 在留資格別外国人労働者の割合
ベトナムに焦点をあてて詳しく見てみましょう。
ベトナムは技能実習が48.3%、次いで資格外活動(留学)が32.6%であるのに対し、特定技能は1.5%という結果でした。
出典:厚生労働省 別添3 「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和元年10月末現在)(PDF)
ベトナム人へ4つのアンケート
特定技能が浸透しない原因は何にあるのでしょうか。アンケート結果をもとにみていきましょう。
Q1:日本でいつか働きたいと思っていますか
⇒はい:78名 いいえ:0名
Q2:日本の就労資格について4つの質問
日本での各就労ビザについての知識は、約8割の人が「知っている」と回答しています。
①技術・人文・国際ビザについて知っていますか。
⇒はい64名、いいえ14名
②技能実習について知っていますか。
⇒はい54名、いいえ24名
③特定技能ビザについて知っていますか。
⇒はい60名、いいえ18名
④ワーキングホリデーについて知っていますか。
⇒はい56名、いいえ22名
Q3:特定技能に関する質問
①特定技能ビザに関心がありますか。
⇒はい:60名、いいえ:18名
②特定技能ビザを取得したいですか。
⇒はい:34名、いいえ:34名、わからない:6名、その他:4名
「特定技能に関心がある」と回答した人は、60名。
ただ、「特定技能ビザを取得したい」人は34名であり、「特定技能ビザを取得したくない」人は34名と、半々の結果となりました。
また、「技能実習の方が良い」と回答した人も数名。このことから、特定技能への知識・関心はあるものの、実際に取得して働きたい数と一致しておらず、他のビザ取得等を検討している人が一定数いることがわかりました。
Q4:日本で働くとしたらどの業界で働きたいですか
1位:外食産業(14名)
2位:宿泊業(13名)
3位:飲食料品製造業(11名)
4位:介護業(6名)
5位:建築業(5名)、IT(5名)
7位:農業(3名)、その他(12名)
ベトナム人が日本で働くとしたら、外食産業・宿泊業が上位を占めています。母国語や英語、日本語を活かしながら働き、観光業に携わりたいという思いが背景にあるのでしょう。
特定技能が浸透しない理由は、入国時のハードルの高さ
アンケートQ4での回答をみると、特定技能ビザの対象職種になっていることは確かです。では、なぜ特定技能ビザの希望者が上昇しないのでしょうか。
特定技能ビザで働くためには、入国までに日本語能力試験に合格しなくてはなりません。日本語を一から勉強をして、半年から数年以上かかることを想定すると、ハードルが高いといえるでしょう。
これに対し、技能実習の場合は、入国時の日本語試験はありません。また、技能実習2号を修了した場合は、特定技能での試験が免除されます。
日本で就労を希望するベトナム人の多くは、すぐに稼ぐことができるかどうかを重要視しています。そのため、勉強する時間的余裕と金銭的事情も関係して、特定技能よりも、入国から就労までのハードルが低い技能実習をはじめとしたビザが選択されるのでしょう。
特定技能が浸透するためには、まずは仕組みづくりを整えることが鍵
日本企業側の対応も追いついていないことも、特定技能が浸透しない原因といえます。
特定技能ビザで外国人を雇用する場合、日本企業は直接海外で採用活動をしなくてはいけません。もしくは、外国人の就労をサポートする機関を通じての採用をしなくてはならないという制約があります。
特定技能1号の場合、一度ビザを取得できれば最長5年の在留資格が認められることがメリットです。働き手としても長期間の勤務が認められる上、企業側もすぐに人材を手放すことなく教育ができます。
企業の人手不足は深刻であり、特定技能で即戦力となる外国人を雇用することが必要な状況です。
特定技能ビザが広く利用されるためには、日本語学習におけるサポートや、日本企業側の採用活動の変化が鍵となるでしょう。
出典:Dream News
関連記事▼
グローバル化が当たり前の現代、母国以外で働くこともハードルが低くなってきています。日本にも沢山の在留外国人がいますが、外国人から見て日本は就労環境としてどれくらい魅力があるのでしょうか。 16万人が使う国内最大級の外国人専用求人サービスを運営する株式会社JapanWorkは、20ヵ国102...