外国人の増加に伴い彼らが直面する様々な問題や差別など、日本社会の課題が浮き彫りになっています。
そうした課題に立ち向かう企業の中で、後藤社長率いるGTNが独自のアプローチで注目を集めています。
後藤社長の外国人支援ビジネスは、単なるサービス提供にとどまらず、彼ら外国人にとっての壁を根本的に解決することに焦点を当てています。その独創的なアイデアや施策は、どのような成果を生み出しているのでしょうか。
本記事では、その秘密に迫りながら、後藤社長のビジョンや取り組みについて詳しく探っていきます。
是非一度ご覧ください。
■プロフィール
後藤 裕幸(ごとう ひろゆき)
株式会社グローバルトラストネットワークス 代表取締役社長
熊本県生まれ
中央大学在学時にITベンチャー起業
平成15年、アジア市場調査及び進出コンサルティング会社設立
平成18年4月、バイアウト
平成18年7月、外国人専門の株式会社グローバルトラストネットワークス設立
■現在の事業内容
外国人専門の賃貸住宅保証事業
外国人専門の不動産賃貸仲介事業
外国人専門の生活サポート事業
外国人専門のアルバイト・就職紹介事業
外国人専門の携帯電話サービス事業
外国人専門のクレジットカード発行
外国人向けサービスの拡充と社会課題への取り組み
━━━御社について簡単にご紹介していただけますでしょうか?ご自身はどのような会社だと思いますか?
後藤社長:
①当社は、お客様を外国人に特化した外国人専門の事業を展開しています。
当社のサービスは基本的に外国人のために提供しているのが特徴です。外国人専門にこだわり、例えば日本人が来店されても申し訳ございませんがご利用をお断りしています。
当社の事業自体が創業より外国人の社会課題を解決することを目的としています。日本人向けのサービスは他社にお任せし、外国人にこだわることで差別化を図っています。
最近では外国人向けのサービスを提供する企業も増えてきていますが、専門というのは珍しいかもしれません。
②個人として20名近くの外国人から保証人を頼まれた経験があります。
過去、外国人保証人問題に直面し、私が外国人の家賃の保証人を依頼されるケースが頻繁にありました。その結果20名近くの保証人を務めたことがあります。その際に、保証会社の存在を知りましたが、外国人の多くは保証会社を利用することができませんでした。
③オーナーさんが外国人に部屋を貸さない理由は何でしょうか?
オーナーさんに確認したところ、外国人に部屋を貸さない主な理由は、トラブルや生活習慣の違い、それによる周囲へ迷惑がかかるのではという心配などでした。さらに、母国に帰国する場合の対応についても不安がありました。家賃滞納が一番の問題と考えられがちですが、実際には家賃問題は下位であったことがわかりました。
④当社の外国人家賃保証を利用している不動産会社は1万5千社を超えています。
このような背景から外国人向けの保証サービスに取り組むため、2006年に会社を設立しました。現在では1万5千社を超える不動産会社が当社の家賃保証を利用しています。この保証事業は多々ある当社の事業の中で現在最も大きなものです。
⑤外国人不動産仲介事業を展開することになった理由は何でしょうか?
不動産会社に保証営業をしていたところ、不動産管理会社から「外国人を受け入れてもいいのだが、うちには外国人が来ないよ」という相談がありました。「後藤さんが外国人を紹介してくれないか」との要望があり、それならばと不動産仲介事業を始めることになりました。保証をするための顧客を連れてくる変わった保証会社になったわけです。
⑥管理会社から期待される様々なサービスを提供します。
外国人向けのウェブサイトを制作し外国人フレンドリーな物件を集約、不動産管理会社の要望に応えるため外国人集客のためのサービスも始めました。
また、日本に来る外国人が直面する様々な問題に対処するため、外国人向けの多言語対応の生活サポート、携帯電話事業や人材紹介、クレジットカードの発行、免許ローン保証などのサービスを提供しています。さらに、これらのノウハウを掛け合わせた外国人向けの福利厚生サービスも展開しています。
これらの取り組みにより格段にサービスの範囲が拡大しており、多くの外国人が当社を利用してくださっています。
⑦医療通訳のサポートも展開しています。
また、医療通訳や病院の選定、予約のサポートも行っています。当社のメンバーは、東京大学を卒業し海外で医療に従事した経験を持つ医師から教育を受けており、専門知識が必要な医療通訳にも長けており、非常に高い評価を受けています。
⑧外国人問題に真摯に取り組んでいます。
当社の事業・サービスは外国人に特化し、外国人の社会課題を軸に展開しています。課題解決に真摯に向き合ってきた結果、現在は不動産、通信、就労、金融など様々な分野に事業を拡大しています。
外国人支援ビジネスの原点:社会課題からの発想
━━━不動産業界は外国人を敬遠する業界として有名でしたが、なぜあえて外国人向けのサービスを展開することを選ばれたのでしょうか? 事業は順調に進んでいますか?
後藤社長:
社会課題解決の重要性を強く感じました。
当時から外国人は増加傾向にあり、これは日本社会としての課題だと感じたからです。実際、私の目の前には困っている外国人がいました。その時、私は社長であり唯一の日本人でした。他の従業員は全員外国人で、みんなが部屋探しにストレスを感じていました。
私は彼らに頼まれて保証人を受けており、この課題を解決することの重要性を強く感じました。この時の会社を売却し、次に何に取り組むかを考えたときに外国人支援が自分のやるべきことだと決意しました。
事業は順調でしたか?
思ったより大変でした。保証事業は、保険的は要素があるため、信頼がないと受け入れられません。個人で保証人を引き受けていた時はよかったのですが、会社として保証をするのは厳しいものでした。私たちの会社はいつつぶれてもおかしくない小さな会社でした。
当初28歳の社長が起業してすぐの会社でしたので「あなたの会社がつぶれたらどうするんですか?」と言われても何も答えられませんでした。ただ「すみません。」としが言えず、苦しかったものです。それでも利用してくれる会社があり、時間はかかりましたが軌道に乗りました。
少なかったですが、私を信用して投資してくれる会社と、私を信用して集まってくれた社員がいましたので、絶対にその期待を裏切ることはできません。最初の4年間は自分の給料はほぼなく社員の給料をなんとか支払うような状態でした。
その時期を乗り越え成長が始まり、頑張ろうと意思をあらたにしたときに、今度は東日本大震災が発生。再びの苦難の時期を経て、さらに成長を続けてきました。
そしてこの度のコロナ禍。停滞期間もありましたがその時期を超えた現在、市場が広がり成長も加速しています。
今年の6月で創業から18年を迎えるGTNは、信頼と実績で成長し続けてきた会社です。多くの支持者や優秀な社員、熱い投資家に恵まれており、皆さんの応援・支援に感謝しています。
外国人支援ビジネスの理念と成果
━━━社長は素晴らしい経歴をお持ちです。少しご自身のことについて教えていただけますでしょうか?
後藤社長:
大学の出会いがもたらした起業の契機
経歴は素晴らしいとは言えないですよ。大学2年生の時に起業して退学していますし、高校卒業後2年間は浪人もしています。
しかし、あきらめず大学に進学したおかげで留学生に出会い、共に起業をしました。起業後、留学生たちはビザの関係もあり在学して勉強を続けましたが、私は社長として活動するため大学を退学しました。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズも大学を途中で退学しています。実際、スタンフォード大学の授業はネット上で無料で見ることもできるため、大学に行き授業を受ける必要がないと考えました。
大学に入学した意味があるか疑問に思われるかもしれませんが、私は大学の価値は授業ではなく、コミュニティーにあると考えたのです。
外国人を対象としたビジネス展開の背景と目指す方向性
私には大学で築いたネットワークと、そこで得たコミュニティーが重要であり、大学での授業よりも自分でビジネスを起こすことに情熱を注ぎたいと考えていました。
当時はITバブルの時代、社会が大きく変化していてその波に乗り遅れないよう急がなければならないと思っていたので、大学で4年間何もしないことは不安だったのです。
90年代には孫正義や堀江貴文などが時代の波に乗りましたが、その5年後生まれの私はIT業界には間に合いませんでした。
しかし、大学での出会い、起業により日本に来る外国人の優秀さを知り、6年間彼らと仕事をする中で、外国人が今後増えることと、外国人の社会問題が多いことを知り、一緒に働いていた外国人社員の保証人を引き受けたことがきっかけで、ビジネスとして仕組みを整えなければならないと考えました。
これが18年前に外国人ビジネスを始めたきっかけでした。当時はだれも気付いていなかったのです。
その当時、多くの日本人は、日本人がアジアの他の国、例えば中国人や韓国人よりも優秀だと思っていました。ですが、私はマーケティング会社を経営していたため、中国人や韓国人の優秀さに気付き、近い将来に中国が日本を超えることや、韓国が発展することを予測していました。2004年のことです。
私は日本における外国人の市場と可能性に興味をもちました。
実は日本に来る外国人は在留資格の関係もあり優秀で知的であり、経済的にも恵まれている人が多く、そのためその国の上流層である可能性が高いのです。ところが、彼らは日本の滞在中にしばしば差別を受けることがあります。
そのような差別、外国人問題をボランティアとして支援するのではなく、ビジネスとすることで対等にそして互いに仲間として活動できるようにすることが重要です。ボランティアでは持続が難しく、事業として長く継続すること、ビジネスを通して社会に貢献することにやりがいを感じています。
まとめ
大学での貴重な出会いが後藤社長の起業を支え、外国人支援ビジネスの原点となりました。社長のビジョンは、社会的課題への取り組みから生まれ、他社と比較して事業の幅が広がっており、不動産、通信、就労、金融など、さまざまな分野において外国人へのサポートを提供しています。今日では多くの企業や個人に支持され、成長を続けています。
次回は、文化の違いから生じる多様性や仕事上の留意点などを取り上げ、今後のビジョンをご紹介します。乞うご期待ください!
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■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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