食べることは私たちの健康と幸福に深い影響を及ぼします。食文化と伝統的な医学の知識が融合すると、私たちの生活はより豊かで健康的なものになります。
今回ご紹介するのは、料理研究家・近茶流懐石教授・「日中伝統医薬学会」理事でもある程肖梅(テイショウメ)氏です。程氏は、養生料理、中華点心、日本料理など多岐にわたる分野で活躍し、その料理の技術と知識を通じて、日本と中国の伝統的な食文化を結びつけてきました。程氏は料理にとどまらず、日中伝統医薬学の研究も行っています。
このインタビューでは、程氏が日本料理と中華料理の文化的違い、伝統医薬学の要素を料理にどのように取り入れているか、そして程氏の料理に対する美意識と情熱について伺いました。
程氏の作品と共に、食と医学の融合についてご紹介します。
程肖梅氏 プロフィール
◼プロフィール
程肖梅(テイショウメ)
・料理研究家
・近茶流懐石教授(新華僑として第一号者)、「日中伝統医薬学会」理事
・養生料理、中華点心、日本料理の教室を開催する一方、多くの雑誌でコラム執筆や講演会への出演など
幅広く活動。
日本料理と懐石料理から日本文化の真髄を学ぶ
編集部:長年にわたり日中伝統文化、特に料理の分野で研究をなさっており、懐石料理はプロの技をお持ちですが、中国出身でありながら懐石料理を習ったきっかけは何でしょうか?
程氏:幼少期から、小麦粉料理が得意な祖母から料理を教えてもらいました。大学時代には食品工程科発酵を専攻しました。自分に子どもができた頃、食育に関心を持ち、日本の風土に合った日本料理を学び始めました。懐石料理は日本料理の中でも特に高く評価されており、日本の文化の一部。懐石料理を知ることは日本文化を知ることだと考えています。その思いから、今も継続的に学びを深めています。
編集部:程氏の懐石料理は、食べると魅了されてしまいます。料理を作る際に一番大切にされていることは何でしょうか?
程氏:料理を作る際、最も大切にすべきことは、やはり「丁寧さ」だと思います。丁寧な心持ちで、価値ある食材を大切に扱い、自分だけでなく相手も満足する仕上がりを目指すことで、幸せなひとときを味わえると感じます。
来日して分かった文化の違い
編集部:程氏の懐石料理はとても魅力的で、食べてしまうのはもったいないほどの美しく、アート作品のようです。ここまで腕を上げるには並々ならぬ努力があったと思いますが、一番大変だったことは何でしたか?
程氏:一番大変だったのは、文化の違いです。日本人にとっては当たり前の下ごしらえや調理法、盛り付けが、私にとっては全て新しいものでした。例えば来日当初、日本の友人の家を訪れた際、私が作った炒め物の中華料理を均等に盛り付けたところ、友人から日本の料理では山盛りが一般的だと教えてもらったことが印象的でした。
日本と中国の伝統的な食文化の違いについて
編集部:日本と中国にはそれぞれ優れた料理文化が存在します。これらの文化の相違点について教えてください。
程氏:日本料理と中華料理の基本的な違いは、それぞれの伝統と哲学に起因しています。中華料理は歴代帝王の宮廷料理や薬膳の概念の影響を受けています。そのため、豊富な食材の使用と複雑な調理法が特徴です。
一方、日本料理は中国からの影響を受けながらも、独自の進化を遂げ、旬の食材を活かし、独特の美的感覚に基づいた盛り付けが特徴的です。
調味料の使用においても、日本料理は砂糖を多く用いる傾向がある一方、中華料理は油を多く使用します。
日中国交正常化の年に寄せる思い
編集部:今年は日中国交正常化の年であります。中国と日本の友好を促進するため、多くのボランティア活動などを行っていますが、一番伝えたいことは何でしょうか?
程氏:日本と中国は共に漢字を使用する国であり、同じ漢字を理解できる両国が友好関係を築くことは自然なことです。それを最も伝えたいですね。
インタビューを終えて
食事と健康は密接に関連し、伝統的な医学と料理の融合は興味深い発見をもたらします。今回のインタビューでは、料理と健康に関する独自の視点を共有していただきました。
次回は中華料理や薬膳料理についてご紹介します。続編にご期待ください。
■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
⇒より詳しくはこちら