日本の文化は、繊細な美しさで知られています。この美しさを体現しているのが、株式会社Lino Linoが手がけるかんなの削り木でできたバラの花です。
今回、当編集部は同社の代表取締役専務 木下元介氏にインタビューしました。見た人の心を掴む木のバラはどのようにして生まれたのでしょうか。木下氏が木のバラを手掛けるようになるまでの過程や、木の芸術がもたらす魔法について話を伺いました。
世界初!かんな削りの木で作るバラの花アートショップ
編集部:遅ればせながら、まずは、世界でも類を見ないかんな削りの木でバラの花アートショップ「Salon de Lino Lino(サロン ドゥ リノリノ)」を立ち上げたこと、おめでとうございます。このショップをいつから始められたのですか?
木下氏:2023年2月20日にオープンしました。
編集部:かんな削りのバラを作るきっかけを教えてください。
木下氏:原宿の東郷神社で行った和文化発信イベント『NIGHT東郷』にて来賓の方々に配ったのが始まりです。当社のバラは、このイベントに協力してくださった大工さんやハンドメイド作家の方のコラボレーションで生まれました。この日本文化発信イベントは、全国の神社仏閣を夜旅行者に開放して日本の魅力を味わってもらうビジネスモデルを全国に広めるべく、そのロールモデルとして開催しました。
その後、和文化発信イベントを共催したハンドメイド作家AYUHA がこの薔薇をアートの域まで昇華させ、商品化に至りました。2021年4月に東京都美術館のベラドンナアート展でも飾られました。
編集部:お店で提供されているかんな削りのバラについて教えていただけますか?
木下氏:剣弁高芯咲(けんべこうしんざき)のバラです。故ダイアナ妃に捧げられたエレガントレディというバラを模しています。
かんな削りの実演や、木でできたバラ体験で国際交流
編集部:かんな削りの実演や、木でできたバラの国際人材交流体験プログラムについて詳しく教えていただけますか?
木下氏:かんなフラワーアート「匠の薔薇」の製造販売を手掛ける弊社独自のコンテンツ並びに体験プログラムをご案内しています。
①かんなフラワーアートのご紹介
天然ひばの削り木で出来た枯れないバラをご紹介しています。日本固有のかんなの説明や、材料のひばについてご説明した後、このバラが生まれた経緯などについてもお話します。 その後は皆様に実際に木で出来たバラを手に取っていただきます。
②かんな削り実演&体験
皆様の前でひばの木のかんな削りを実演。芳香豊かな削り木をお配りするので実際に 嗅いでいただきます。ご希望の方にはかんな削り体験も可能です。 参加者の皆様の交流促進や気づきに繋がるような内容に努めてご用意させていただきます。
編集部:かんな削りの作業に使用する道具は何ですか?
木下氏:鉋(かんな)といいます。
編集部:日本では留学生や外国人の方が多くいます。木下様は外国人との文化交流を大切にされていると伺いましたが、その詳細を教えてください。
木下氏:先月東京山の手ロータリークラブで講演した内容が下記のURLでご覧いただけるので、お時間ある時にご覧ください。上から3人目が私です。
海外生活から日本の魅力を再発見、木で出来たバラを通じて国内外に発信
編集部:木下様は海外で暮らした経験があると伺いましたが、その海外経験が今のお仕事とどのようにつながっていると考えていますか?
木下氏:私の海外駐在経験が今の仕事につながっていると思うのは次のふたつです。
一つは、英語の習得です。外国の方とのコミュニケーションを取る上で大変役に立っています。現在、当店のお客さまの約3割は海外のお客様です。
もう一つは、海外に住んで気づいた日本の魅力の再発見です。長い歴史や伝統文化、日本人の美意識やものづくりへのこだわりは日本ならではの魅力だと、海外に住んで気づきました。これらを木で出来たバラを通じて国内外の方へ伝えたいと思いました。
編集部:日本で暮らす留学生の皆さんに向けてアドバイスをお願いいたします。
木下氏:このバラは壊れやすく不揃いな削り木で出来ていますが、やさしく丁寧に接することで美しいバラになります。現代は非常に複雑な世の中になってきていますが、本質的なものは変わらないと思います。人種や宗教、イデオロギーが違っても、丁寧に向き合うことで調和が生まれると思います。
現在の使命と今後のビジョン
かんな削りの木でバラの花アートを作り上げるショップを立ち上げた株式会社 Lino Lino 代表取締役専務 木下元介様のインタビューから、彼の興味深い経歴とビジョンが明らかになりました。
ショップは2023年2月20日にオープンし、世界中から訪れる海外のお客様とコミュニケーションをとる中で、英語の習得が大いに役立っています。また、海外での経験から、日本の長い歴史、伝統文化、美意識、ものづくりへのこだわりに再び魅了され、それらを木で出来たバラを通じて広く伝える使命感を抱いています。
最後に、留学生へのアドバイスとして、異なるバックグラウンドを持つ人々との調和を大切にし、丁寧な対応が美しい結果を生むといただきました。木下氏の作るバラは壊れやすく不揃いな削り木を使って作られていますが、やさしく丁寧に接することで美しさが生まれることを表しています。
木下様、この度は貴重なお話を伺うことででき、大変光栄に思います。今後もどうぞ引き続きよろしくお願い致します。
■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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