台湾と日本の就活の大きな違いは、大卒後(18歳以上の男子)に軍への徴兵制度が控えていて日本のような新卒一括採用など行える状態ではなかった。2018年12月26日に、軍の徴兵制から志願制へ全面移行が完了し、60年以上続けてきた徴兵制を事実上終えた。しかし4カ月間の軍事訓練の義務は今後も残る状態で大学生の就労活動に変化が出るのかは今後の企業求人を見守ることになる。
就職は卒業後に考える
日本のように、リクルートスーツを身にまとい就活する学生は殆どいない。台湾の学生は学業優先で、よく勉強する。なぜなら台湾の大学は進級に対しとても厳しく、落第も多いようである。よって台湾の大学四年生の会話には、就職の話より卒業できるかできないかの話になり、就職は卒業出来てからということになる。大学を卒業しても良い仕事には就けず、大学院や海外へ留学する生徒も多く、就職に焦っている学生は少ないようである。台湾には新卒一括採用の概念はほとんどなく、大企業の中で新卒者を一括採用する会社もあるにはあるという程度。各大学で年に2回くらい就職フェアがあり、金融・保険関係の企業などがブースを出すが、日本のようにリクルートスーツを着た学生たちが大挙して押し寄せるなどという光景は見られない。
就活への意識
新卒一括採用(日本の就活形態)が主流にならない理由はいくつか挙げられる。最大の理由は、男子の兵役。とにかく、これが終わらなければ就職どころではない。しかも、卒業後すぐに兵役の召集が来るとも限らないので、兵役が始まるまでとりあえずアルバイトで凌ぐことになる。2つ目の理由は、留年が全く珍しくないこと。台湾の大学は、コース成績が60%に満たなければ、容赦なく落第させられる。そして学期の総成績(獲得単位)が2分の1に満たない状態が2回続くと、即退学になる。退学させられた学生は、転学試験を受けて他の大学に入り直す。(ちなみに、個人の興味や関心の変化から転学・転学科する学生もけっこういる。)だから4年間で卒業しない学生も日本に比べたらずっと多くいる。求職活動に関する活動期間とその意識は、卒業後1~2ケ月で行い就職を決める傾向が多いようである。ここが
日本の就活と大きな違いといえる。
就職先の人気と給与
台湾企業の求人は即戦力型を重視するため、能力のある社員ほど重用されることになる。入社後の人材育成には余り投資することはない。台湾では、民間企業より官への人気が高く平均給与も官の方が上回っている。大卒の全体就労者に占める割合(労働参加率)は、2007年21.0%・2012年28.6%・
2017年34.3%(資料來源:行政院主計總處「人力資源調?」)と大卒の占める割合が、ここ10年で12%以上も増加していることは目を見張る状況である。(参照:USA2017年・40.1%(米国労働省)) 給与面では、物価上昇に比べ決して高い水準ではなく、大卒初任給の平均が台湾では28K超えと報道では表記され、28,000元(99,680円 1元=3.56円換算)を超えたことを意味している。
台湾華語(繁体字)および中国コミュニティを必要とする日本企業
日本企業への就職を希望する台湾の留学生は増加傾向にある。台湾での就職は、初任給の低さにもあるが、5年間の給与上昇率が国により公表され、台湾で就職するよりも日本で就職した方が給与面では相当に良い待遇を受けることにはなる。親日家でもある台湾留学生は、文化面でも似通っている国民性で日本企業にも溶け込みやすく、台湾・中国との取引企業では今や重宝されている。