フィリピンと日本での就活の違い(外国人雇用豆知識)

フィリピンの人口増加は、日本が羨むほどの増加を続けている。日本の人口は現在1億2,623万人(2019年4月1日現在)で下降に向かって、フィリピンは1億500万人で上昇を続けている。人口では、日本は世界第11位、フィリピンはそれに次ぐ世界第12位。フィリピンの人口は急激に増加しており、2030年までには日本の人口を抜くことが予想されている。人口問題だけではなく日本との大きな違いは、平均年齢にある。日本の平均年齢は46.9歳、フィリピンは24.3歳と親子ほどの違いがみられる。

フィリピンと日本の教育制度

国際基準K12へ

フィリピンの教育制度は、2013年に制度改革が行われ、2016年に10年制から13年制に変わった。それまでの10年制では、6年(小学校)4年(中高学校)の10年間のみの短期間の教育で、16歳で高校を卒業して大学への進学や就職を行っていた。それが13年制に変わり、最初の1年は幼稚園(義務教育化)、次の6年は小学校(6歳から入学)、次の4年が中学校、最後に2年が加わり高校ができた。1・6・4・2制の13年制に変更となり、日本では、6・3・3制の12年制が高校卒業までの制度となっている。今迄は16歳で高校を卒業しても国際的には認められず海外の大学に留学することは、12年制を採用している国からの許可が下りず、国際基準K12になったことから2019年9月以降は認められることになるはずである。

フィリピンの大学と進学率

国公立大の学費無償化

世界中で何かと話題のドゥテルテ(Rodrigo DUTERTE)大統領が就任後の政策において、国公立大学の学費無償化を行った。一見貧困層への手厚さに見えるが、フィリピンの私大の学費は(10~30万円/年、GDPが日本の10分の1)であり、フィリピンの大学進学率は30%程度とのデータもあり、しかも国公立大学に通っている学生の内の約10%程度しか貧困層家庭ではないため、実際にこの政策に恩恵を受けたのは富裕層ではないか、との風潮がある。

大学数の比較分類

今後の見通しとして2019年度以降は、フィリピンの大学進学率は、人口増加と共に順調に伸びていくと予測がなされている。州立大学112校、公立大学107校、その他14校,で国公立大学数は233校(12%)となり、私立大学数1,710校(88%)、大学の総数は、1,943校(2016年度)となっている。2017年度の日本における大学数は、780校・学生数2,890,880人、フィリピンは日本の2.5倍もの大学校が存在していることになる。

進学率の国別比較

因みに大学の進学率をUNESCO統計ベースで見ると日本(第44位・63.58%)、アメリカ(第9位・88.84%)、中国(第59位・51.01%)、韓国(第5位・93.78%)、ベトナム(第93位・28.26%)、ネパール(第125位・11.29%)、フィリピン(第83位・35.28%)となっている。

留学先大学の魅力

フィリピンに学部留学する海外からの学生が増えている。留学費用の安さと英会話留学先国としての魅力で、韓国・中国・香港・中東諸国などから大変な人気である。特に韓国の大学生は英語の必要性を就職条件の一つに挙げるほど勉強しているため、実践英会話国としてフィリピン留学を選択する学生が多い。大学の組織としては、アメリカ統治下だったため、アメリカの大学組織の形態を採り入れている。フィリピンの大学は、多数の専門専攻科目が準備されていて、学ぶ側にとっては大変興味が湧く大学の組織体になっている。

名門大学ベスト4

フィリピンのベスト4の名門大学を挙げる、併せて世界最大評価機関の英国クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds)が、毎年恒例で発表する世界の大学ランキングも表記する。第1位(72位) 国立 フィリピン大学 ディリマン (University of the Philippines Diliman)、第2位(115位) 私立 アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University),第3位(155位) 私立 デ・ラ・サール大学 (De La Salle University)、第4位(162位) 私立 聖トーマス大学(University of Santo Tomas)、が選出されています。因みに日本の大学の国際比較順位の20位までを抜粋すると、11位 東京大学、14位 京都大学、16位 大阪大学、となっていて、フィリピン大学 ディリマン校(72位)は、70位 広島大学、と77位 一橋大学、の間に順位しているとの評価である。

フィリピンの就職と収入

BPO産業は日本女子に人気

フィリピンが世界中でBPOビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)としての地位を認知され始めたのは10数年前からである。フィリビンにおけるBPOは、コールセンターが多く、日本からBPO産業へ就職する20代30代女性が増えている。日本と比べると居住費や物価が大幅に安く、日本より安い給料であっても、日本では考えられない生活スタイルが楽しめるとの人気ぶりである。BPO産業はアメリカと12時間の時差があるインドの専売特許との認識であったが、コールセンターだけにスポットを当てれば、フィリピンはインドを抜き、この分野では世界一の規模を誇るまでになり、国家の重要産業となった。

国家予算と東京都予算の比較

国家予算を比較した場合、フィリピンの2019年度(1月~12月)の予算総額は3兆8,556億ペソ(PHP) (8兆4,823億円・1ペソ=2.2円換算)となり、前年からの伸びはない。因みに2019年度東京都の全会計予算規模は14.9兆円であり、フィリピンの国家予算は東京都予算の57%程度である。

大学は出たが正社員かアルバイトか

産業の60%はサービス業であるフィリピンでは就職先(正社員雇用)がなく、大卒は就職難の状況が続いている。多くの卒業生は、サービス業の店員になるか海外へ出稼ぎ留学生になるかの選択肢しかない。優秀な学生は、外資系企業やBPO産業に就職できるが、サービス業の店員では正社員雇用ではなく期間限定のアルバイト社員である。フィリピンの労働法における雇用期間は企業側に裁量権があるため、雇用契約は長くて1年、短かければ数か月の雇用契約で働くことになる。フィリピンの大卒者の就職は、大学のランクで決定され、その中でも成績優秀者に幹部候補としての道が開ける。

フィリピンでの給与相場

フィリピン大卒者の収入を見てみると、ランク上位の大学を卒業し外資系に正社員雇用された者の平均初任給は2万5千ペソ/月額(55,000円~)、普通レベルの大学を卒業し民間企業に正社員雇用された者の給与は1万~1万5千ペソ/月額(22,000円~33,000円)、大学を卒業しアルバイト雇用で外資系のショップで働いた場合7千ペソ/月額(15,400円)、正社員雇用がなくアルバイト雇用で生活するなら3千~5千ペソ/月額(6,600円~11,000円)が相場である。因みに、日本での大卒の平均初任給は20万6,700円(2017年度)となっている。

岐路に立つ在留資格、特定技能と留学

昔からの移民労働者

フィリピンの経済は昔から海外に出稼ぎに出ている移民労働者によって成立している。英会話ができることを強みとして、また家事全般を得意とすることや肉体労働を行うことで、英語圏である北米のアメリカやカナダ、中東の(サウジアラビア、UAE、カタール)やアジアの(香港、シンガポール)への出稼ぎ労働者として海外へ渡り、彼らからの海外送金はフィリピンの重要な国家の収入源に今もなっている。嘗て日本への出稼ぎ労働者は多かったのだが、なぜかフィリピン人の日本への入国における在留ビザは「興行」がほとんどであり、家事や肉体労働とはかけ離れた収入を得てフィリピンへ送金していて、日本でも社会現象が起きていた。移民労働者、いわゆるOFW(Overseas Filipino Worker)やOF(Overseas Filipino)と呼ばれる人々である。フィリピン経済にも大きく貢献しており、OFWからの送金は、2017 年は前年比5.3%増の過去最高となる受取額326億USドル(世界銀行)を記録し、海外送金による受領額は、第1位インド690億USドル、第2位中国640億USドルに次ぐ第3位である。フィリピン国内のBPO産業よりもはるかに大きな規模である。

在留資格、「特定技能」と「留学」

日本はフィリピンと二国間協定を締結している。日本は外国人留学生の大幅な増加計画を打ち出し、研修生の受け入れを実施し、その後労働者の大幅な受け入れ拡大として2019年4月から実施し、労働者補充の観点から在留資格を大幅に改定した。留学生として来日する外国人留学生は大学の別科や日本語学校で初歩の日本語を習得する。このため大学の別科や日本語学校は増員対応を続けていたが、今後、日本に留学を希望する学生数の減少が懸念される。現在、留学生は資格外活動の申請により週28時間以内の労働が認められていることから、特にベトナム人・ネパール人・フィリピン人の留学生に喜ばれていた。だが今後は、一定の技能があると判断された外国人については、建設業界、介護業界、製造業界、外食や宿泊業界など14業種に外国人の就労が解禁される。在留資格「特定技能」の存在である。新しい在留資格ができて、アルバイトで学費や生活を賄っている貧困国の学生たちは、労働だけを選ぶのか、留学とアルバイトを選ぶのか、今、岐路に立たされている。

今後増えるフィリピン人留学生

日本学生支援機構の発表では、平成30年度(2018年度)外国人留学生在籍状況調査によると2018年5月時点での日本におけるフィリピン人留学生数は2,389人で、前年度の1,806人と比べて24.4%(583人)増加した。フィリピン人留学生数は、13位アメリカ(2,932人)についで14位となっている。これは前出のとおり、学校教育制度の問題点により、国際基準K12をクリアしていなかったため、各国より拒否されてきたためであり、2016年9月より新制度においてK12を制度化したため、2019年9月には新制度の下での高校生が卒業することになる。よってこれ以降は、フィリピンからの留学生も一気に増えてくるものと推察している。

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