健康志向が高まる中、海苔の健康パワーが再認識されています。体にうれしい成分を含む海苔は栄養バランスも申し分なく、健康維持する上で意識して摂りたい食べ物なのです。
海苔は日本のパワーフード!
海苔にはタンパク質、食物繊維、ビタミン、カルシウム、EPA、タウリン、ベーターカロテン、アミノ酸などが豊富に含まれており、栄養価に富んでいます。
特に、タウリンは悪玉コレステロールを減らす効果や高血圧に関連した動脈硬化、血管障害、脳血栓などの脳疾患、心筋梗塞、心不全の予防に効果があると言われています。また、海苔には最近注目されているEPAも豊富に含まれています。β-カロチンやコレステロール値を下げる働きがあるEPA(イコサペンタエン酸)は、がん予防にも効果的とされています。
EPAは、イワシやサンマなどの青魚にも含まれる油脂で、今注目されている栄養素のひとつです。さらに、中性脂肪を減少させる効果があり、生活習慣病予防にも効果的です。
日本では昔から馴染み深い食材である「海苔」は日本のパワーフードといえます。
海苔養殖業の発祥の地は東京都の意外なエリア
古くから日本人に食べられている海苔。その歴史を辿ってみましょう。
九州の有明海や瀬戸内海が海苔の生産地として有名ですが、実は海苔の養殖業は江戸時代、東京都大田区の大森から始まったと言われ、大森から品川にかけての海岸近くで盛んになったとされています。 大森で作られた海苔は江戸時代の将軍も食べたことから「御膳海苔」、「本場海苔」と呼ばれるようになったそうです。 江戸後期から日本全国に広がり、各地に海苔の生産地ができましたが、大森は明治から昭和初期にかけて質と量の面で日本一を誇る海苔の生産地として有名でした。
大森の海苔作りは昭和30年に幕を閉じた
大森の海苔作りは約250年にわたって続いていましたが、現在はありません。
昭和38年になると東京湾の水質が悪化し、さらに昭和32年には東京湾の埋め立て計画が発表されました。そして昭和38年の春、約250年間続いた大森の海苔作りは歴史の幕を閉じました。
現在も大森周辺には海苔門屋が多数あり
しかし、江戸時代から培われてきた伝統は、生産が途絶えた今でも生き続けています。それが加工技術です。受け継がれた加工技術を活かした海苔問屋が現在も大森周辺に多くあります。そして、全国の食卓に海苔を届けているのです。
「大森海苔のふるさと館」で見つけた国の重要有形民俗文化財
「大森海苔のふるさと館」には、国の重要有形民俗文化財が展示されています!
平成20年(2008年)に「大森 海苔のふるさと館」が海苔の“本場(ほんば)”と称されたこの地に開館しました。この館では、国が指定した重要有形民俗文化財「大森及び周辺地域の海苔生産用具」(881点)を含む約150点の資料を展示しており、地域文化の伝承と創造の場としての役割を果たしています。
大田区の沿岸部の人々にとって、「海苔はふるさとのシンボル」であり、養殖が終わった今でも語り尽くせぬほどの心の財産となっています。また、そうした「海苔」に改めて注目することが、海辺の自然や四季の変化にも目を向けていただく機会となれば幸いです。
「大森海苔のふるさと館」では、文化財を展示紹介すると同時に、海苔づくりを支えてきた伝統の手わざを体験できる施設としても機能しています。
「大森海苔のふるさと館」を見学
「大森海苔のふるさと館」は、大田区の海辺にあります。ここでは、海苔が盛んに作られていた頃の記憶がつまった展示を通して当時の雰囲気を体感することができます。
1階展示室では、国の重要有形民俗文化財に指定されている昭和30年代に造船された最後の海苔船「伊藤丸」の上で、おじいさんと孫が海苔づくりの盛んだった当時の様子を映像で紹介します。また、海苔付け場の情景も復元されています。
2階展示室では、海苔づくりの一年とその道具が展示されております。さらに、海苔下駄や振り棒の体験もできます。
3階には展望室があり、ガラス張りの全面から大森ふるさとの浜辺公園を展望できます。
テーブルや椅子、飲み物の自動販売機もありますが、食事はご遠慮願います。また、テラスには花壇(天空ガーデン)があり、季節の花と浜辺の展望を楽しむことができます。
「大森 海苔のふるさと館」の住所と最寄駅
住所:〒143-0005 東京都大田区平和の森公園2−2
お問い合わせ先:Tel 03-5471-0333、Fax 03-5471-0347
開館時間
午前9時から午後5時までですが、6月から8月は午前9時から午後7時まで開いています。
入館料
無料
交通
・京急線「平和島」駅から約徒歩15分(駅に地図があります)
・JR「大森駅」東口9番乗り場から「平和島循環」バスに乗り、「平和島五丁目」下車徒歩約3分(バスを降りて左、すぐの角を右へ)
*バスの運行数が少ないのでご注意ください。時刻表は、京急バスのサイトでご確認ください。
・東京モノレール「流通センター」駅から徒歩約15分
いかがでしかか?海苔はいつも食卓にある簡単なものだと思っていましたが、その養殖にはいろいろな技術や伝統が潜んでいることに驚きました。実際に見学を通して海苔の大切さとありがたさが増しました。先人の知恵や歴史を学ぶ貴重な機会でした。皆さんもぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか。
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■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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