【中国の介護市場】日本式介護サービスの展開は?

近年中国では、高齢化の進行により巨大な介護市場が形成されつつあります。中国政府は、積極的に民間資本や外国資本の参入を推し進めてきました。これを機に日本の介護事業者は、中国の介護市場に続々進出しています。

それでは、現在日本の介護事業者の進出の現状はいかがでしょうか?中国の介護市場で、どのような効果をもたらしているのでしょうか?

気になるところを調べてみましたので、参考になれば幸いです。

中国の高齢化と高齢者の現状

日本と約30年の差とは?

日本と中国は、以下の通り高齢化の進み具合におよそ30年の差があります。

・高齢化社会(高齢化率7%以上)→  中国は2000年に、日本は1970年に

・高齢社会(高齢化率14%以上)→ 中国は2025年に、日本は1994年に

・超高齢社会(高齢化率20%以上)→ 中国は予測として2035年に、日本は2007年に

 

中国の高齢者の特徴

中国の高齢者の特徴としては、世代により変化が見られます。

80代以上の高齢者は節約志向が強く、また子どもや兄弟も多く、家族に依存してきましたので、介護サービスに頼らないのが一般的でした。

しかし、1950年代や60年代に生まれた人たちは 状況が変わりました。一人っ子政策の時代に子育てをしたので、介護を一人っ子だけに依存するのは難しく、介護の専門的なサービスが求められる時代となりました。

中国政府の政策整備の模索

いままで中国の高齢者福祉は、国がすべてを保障し、低所得で親族のいない高齢者たちは国が施設で面倒をみるという考え方でした。

一、2011年に中国政府は「9064モデル」を策定

9064モデルとは?

・90%の高齢者を 在宅で、

・6%の高齢者を社区と呼ばれるコミュニティで、

・4%の高齢者は施設で

以上のような割合で、サービスしていくモデルのことです。

 

二、中国の高齢者産業 元年は「2013年」

2013年に中国政府は『高齢者サービス産業 の発展加速に関する若干の意見』を発表し、

高齢者施設分野への外資系企業を含む、民間資本の参入を奨励する方針を発表しました。

このことから異業種を含む多くの企業 が同分野に参入し、中国ではこの年を「高齢者産業 元年」と呼んでいます。

これを機に、「高齢者ケアサービス」など6分野について、さまざまな政策を打ち出しました。

日本企業の中国事業の展開

日本企業は中国の巨大な高齢者産業をビジネスチャンスと捉え、中国で事業を展開しています。

2012年に進出した企業や、2014年以降に施設をオープンしている企業も多くなっています。

【日本企業の特徴は?】

1.展開地域は、北京や上海、広州、その周辺地域に集中している

2.進出形態は、合弁または合作の形で参入している企業が多い

3.進出時期は、2012年から2014年以降に施設をオープンしている企業 が多い

4.提供しているサービスの形態は、有料老人ホームがほとんど

 

【日本式介護の最大の特徴とは?】

―日本では?

まず詳細な「介護計画」を作成し、認知症介護(日本では認知症と呼ばれる)や自立支援などのサービスを提供します。

なかでも「認知症介護」は、中国は日本より30年以上遅れているとの指摘もあります。日本の認知症患者は、自宅や近隣のデイサービスで介護を受けながら、普通の生活を送っています。

―中国では?

これは中国では想像しがたいことです。 業界最大の日本の医療センターから多くの中小企業まで、市場を開拓しようと中国にやって来ますが、利益を上げるのはとても難しいです。

日本式の介護サービスを中国で展開するときの障害は?

日本式の介護サービスを中国で展開するのに、何が障害になっているのでしょうか?

いくつかの要因があるでしょうが、大きな問題を挙げてみたいと思います。

 

1.保険制度の差

まずは保険制度に大きな違いがあります。日本は2000年に介護保険制度を正式に導入し、高齢者市場は、健全かつ秩序ある発展をし、今日まで豊富な経験を積み重ねました。

しかし、中国の介護保険はまだ初期段階にあります。中国は実質全額自己負担でのサービス提供となり、日本の介護保険制度とは異なります。

また、中央政府も地方政府も政策転換が多いため、補助金など優遇策への過度の期待は、難しいところでしょう。

これが、中国での日本式介護の推進が難しくなった根本的な理由の一つです。

 

2・習慣や文化の違い

中国と日本は習慣や文化に違いがあります。

例えば、日本の介護サービスで実施している「自立支援」とは、障害者の残りの身体機能を最大限に維持することに重点を置いており、食事やトイレに行くなどの日常生活はその一部とされています。

身体機能の低下を遅らせるために、専門家の助けを借りながら、自分でそれを行うようにしています。

しかし、中国の多くの人々の習慣では、サービス料を払う以上、高齢者は総合的なサービスを受けるべきであると考え、家族からもさまざまな要求が出されることが多いようです。

 

3・富裕層は介護施設のハード面で贅沢志向が強く

同じような理由で、日本式介護は中国富裕層の間では受け入れられません。 裕福な中国人は日本人とは異なり、介護施設のハード面に対する要求が高く、贅沢志向が強く、日本に行って老人ホームを訪問したとき、建物、室内装飾等に受けた印象は「とてもシンプルで、ハイエンドな品質に欠ける」と思うことが多いようです。

中国政府関係者や企業からは、日本の介護に対する期待はとても高くなっていますが、「日本式介護サービス」は理解されていないのが現状です。

日本の「自立支援」や「尊厳を持った介護」といった理念を中国の現地の高齢者や家族にデータや事例など、もっとわかりやすいかたちで説明することが必要でしょう。

 

4・価値志向の違い

価値志向の違いにより、贅沢志向をもつ国内最大資本が、強力な資金により、最初に主導権を握り、富裕層の消費者の部分を獲得しました。

これらは、主に国内の強力な生命保険会社によって運営されるのが多くみられます。 ほか不動産投資をメインにする不動産会社は、投資が目的なので、介護理念は後回しになります。

 

5・介護職に従事する人の意識差

また、中国と日本の間には、介護職に従事する人材のプロ意識や意識の面で大きなギャップがあります。 問題の1つは従業員の教育問題です。 日本の介護現場の看護スタッフは、一般的には、専門学校や大学を卒業しています。

中国では介護士の多くが農村部の出身であり、教育水準が限られています。社内研修に力を入れていますが、研修を受けた従業員の多くはメモすらよくできない人も多くみられます。

日本と中国の事情に詳しい管理職人材の確保も重要でしょう。中国側の人材を採用し、本社からの指示を受け、現地の状況にあった方法を見つけるとよいでしょう。

 

6・介護職員が面倒を見る老人数は日本の2〜3倍

中国における日本式介護は、保険制度の欠如や費用面での配慮もあり、中国の看護職員は日本の2〜3倍であり、そのギャップが多く、サービスにも当然差がでることでしょう。

これらのギャップは、中国での日本式看護の実施と促進を制限する一つの要因となっています。

 

日本式専門的な介護の大切さは、これからますます需要が高まるでしょう。

現在、中国国内の認知症高齢者数は500万人に達しているといわれていますが、認知症高齢者を受け入れる施設は少ないのが現状です。非常に困っている人たちが多いわけですので、認知症高齢者向けのサービスもこれから増えるに違いありません。

また、中国の富裕層だけでなく、中間所得者層もターゲットにサービスを展開できるともっと道が開かれるでしょう。

中国進出の日本介護事業者、介護事業関連団体は、現地の信頼できるパートナーを見つけると、もっと効率よく業績アップにつながるでしょう。

これから中国の介護産業が発展するのに従い、日本の進出企業もさらに大きく発展することを期待します。

■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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