人生100年時代【外国人保険の悩みとは?】ファイナンシャルプランニング松川加奈さんをインタビュー

人生100年時代、外国人も日本で生活していけば、老いは避けることができません。永い人生のなか、将来ずっと健康で、無事である保障はあるのでしょうか?不測の事態が発生した時、自分や家族を助けてくれる保険はないのでしょうか?もちろん公的な社会保障制度もあるので、それを含めてどのような保険が必要になるかを検討してみてはいかがでしょうか?重複して加入する必要はありません。自分の生活に合った最適な保険をセットとして設計してみてはいかがでしょうか。このような質問をもとに松川様にインタビューしてきました。参考になれば幸いです。

■プロフィール:松川 加奈(女)
・中国青島出身50代
・日本国家資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
・日本で大学院修了後、大手企業勤務
・現在子育てをしながら保険業務に励む

中国の日系大手で働くうちに、日本留学を夢見る!

━━━松川様はいつ日本に来ましたか?日本に来たきっかけは何ですか?

松川:私は1997年に日本へきました。中国で4年制大学を卒業してから、深圳にある日本の大手企業で働いていましたが、そのうちだんだん日本に行ってみたくなりました。それがきっかげで、日本留学となりました。

保険業界との出会い

━━━保険業界との出会いは、いつ頃だったのですか

松川:実は20数年前に私が日本に来たばかりの時、アパートに住んでいました。その時、保険会社の方がよく訪問販売に来ていました。来るたびに彼女たちから日本語を教えてもらったり,周辺の商店街の情報を教えてもらったりしました。親切な方ばかりでした。保険に入ってもいないのに、ずいぶん親切にいろいろな役に立つ情報を教えてくださり本当に助かりました。その時から保険販売員にとても好感を持ちました。

━━━保険業界に入ったきっかけは何でしょうか

松川:約5年前、友人から「保険会社で働いてみませんか」と誘われました。たまたま私自身がどのような保険があるのかを探していた時でした。保険の必要性は薄らと感じていましたが、なぜ、何を、どれぐらいの価格で買うのかがわからなかったので、選択に困っていた時でした。私は保険制度が複雑であることが一つの問題であると思いました。そこで、数ヶ月かけて勉強するつもりで保険会社に入社することにしました。

保険の資格

━━━日本で生活する上でよく保険の話を聞きますが、保険の資格とはどんな資格でしょうか

松川:保険業界で仕事をするためには,いろいろな資格が必要になります。

まず「保険募集人資格」を取ることが必須です。

次に、損害保険の販売などを行う「損害保険募集人の資格」のテストに合格する必要があります。

さらに、金融,税制,不動産,住宅ローン,保険,教育資金,年金制度など保険業界で働く上で必要な知識を身につけることが求められ、ここではファイナンシャルプランナーの資格(FP)の取得を通じてキャリアアップすることが重要になります。

外国人の保険に対する意識とは?

━━━いま日本に中国人は100万人近く住んでいると聞きました、保険に入っている比率はどれぐらいでしょうか

松川:正確な統計データはありませんが、法的拘束力のある保険以外の保険に入っている方は少ないと感じております。周りの中国人の友人から見ると、3分の1未満であるように感じます。

保険は「リスクマネジメント」である

━━━80年代90年代の中国には保険制度がほとんどなく,保険に対する意識がほとんどなかったと思いますが,今保険に入る必要性は何だと思いますか?

松川:確かに一部の中国人は、保険への意識が薄いと思います.

━━━保険に入る必要性は何だと思いますか?中国と違いがありますか

【保険に関する意識の相違点】:

日本人に保険を販売するときには、商品の良さから説明し、今入っている保険を見直すか、あるいは新しい保険を追加するかを検討することに対して

②中国人の方に保険を販売するときには、なぜ保険に入るのか、その必要性から説明しなければなりません。最低限の保険には入っているし、法的拘束力のある保険にも入っているので,さらにお金を払って保険に入る必要がないと思う人が多いと感じます。

③貯蓄型保険について:中国の方々は、保険を買うとしても貯蓄型の保険に入りたい方が多いのが特徴です。例え出費が多く、保障内容が薄くても将来的に自分の手元に戻ってくるのであればいいと思う人が多いと感じます。

リスクマネジメント:貯蓄は重要ですが、保険本来の目的ではありませんので、まず保険は個人や家族のためのリスクマネジメントであるということを知っておく必要があると思います。

⑤正常な生活が破壊されないための保険:実際、多くの日本人は万が一の時でも正常な生活が破壊されないことを目的に保険に入ります。欧米でも同じように個人のリスクマネジメントは広く普及しています。

━━━保険に入る必要性は何でしょうか

松川:事故や病気など人生の中で起こりうる事象にかかる費用が、個人や家族の生活をどん底に陥れるほど大きいからです。

自分は事故や病気にかからないという考え方は、泥棒が自分は絶対に捕まらないと考えるのと同じです。今のコロナがその一例です。いつ、どこで、誰がコロナにかかるのか全くわかりません。このような不足の事態が発生した時に自分や家族を助けてくれるのが保険です。もちろん公的な社会保障制度もあるので、それを含めてどのような保険が必要になるかを検討しなければなりません。重複して加入する必要はなく、自分の生活にあう最適な保険をセットとして設計する必要があります。

事例1

入院時の自己負担額はいくらかご存じですか?

おそらく多くの方は健康保険で何とかなると考えていると思います。実際、医療の進歩などにより、入院期間は短期化しており、約8割の方が1か月以内に退院されています.一方、入院時の1日当たりの自己負担額は平均23,300円となります。高額療養費制度を利用した時を含めての金額です。健康保険は治療費用に限って適用するものであり、食事やベット代などは健康保険ではカバーできません。

事前に対策をするには、どうしたらよいでしょうか?

医療保険に加入する時には、このように平均的な入院期間や1日あたりの平均費用などを考慮して、さらに個人の必要最小限の負担で10年先を見て保険費用に見合うような保険を設計すると安心ではないでしようか?1回でも万が一のことを経験した人たちは躊躇なく保険を買うのが今の在日中国人の保険に対する心理と行動ですが、事前に対策をとっておいたら大きな損失を防げたのではないかと思います。

事例2

病気やケガによる通院治療にかかる費用は?

退院後に通院する人の割合は約8割以上であり、患者数も増加傾向にあります.通院が長引くと経済的な負担が大きくなっていきます。通院治療に意外とお金がかかるのも保険加入の必要性の一つです。

さらに最近では高額な治療費が必要な重粒子線治療や陽子線治療といった先進医療も注目されますが治療費のために治療を諦めるケースが多々あります。家族に遺伝的に重粒子線治療が必要な病気になる危険が1%でもあれば、この保険を買っておくことはおすすめです。保険入ると通算2000万円の先進医療費をもらうことができるので、治療を諦めずに、病気を直すことができます。自分の幸せでもあるし、家族の幸せのため、あるいは最低限の正常な生活を送るためでもあります。

これ以外にも多くの保険があり、人それぞれに合うような保険を設計することができます。勿論、収入が平均以下で、正常な生活ができないのにも関わらず、保険を最優先する必要はありません。

保険にはどんな種類があるの?

━━━日本の保険にはどんな種類がありますか

松川:日本の保険の種類は大きく分けると

①公的保険:国や地方自治体が運営するもの

公的保険の例として国民健康保険や国民年金等の国などによる「公的保障」

②個人保険:個人保険とは民間会社が運営するもの

個人保険の例としては、生命保険損害保険の2つを挙げることができる。

③企業保険:企業経営に関わる保険

企業保険の例として厚生年金.死亡退職金などの企業による「企業保障」

以上の3種類に分けることができます.

生命保険は大きく3種類に分かれる
1番目に、事故や死亡保険等万が一に備えたもの

2番目に、医療保険等入院や手術等の医療費に備えたもの

そして3番目に、資産形成機能のある保険など将来の生活資金に備えたものがあります。

損害保険

損害保険には、①火事に備える火災保険 ②地震に備える地震保険 ③自動車事故に備える自動車保険 ④体の傷害に備える傷害保険(自転車保険も含む)などがあります。

 

松川様、本日は保険の知識を教えてくださり、また多くの外国人が保険について考えるきっかけを提供してくださり、誠にありがとうございました。日本は人生100年時代に突入しました。将来にどう備えればよいかまた続きを聞かせてください。楽しみにしております。以上の保険に関する問い合わせ先は charlenekana@gmail.comです。

 

■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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