(公財)日本賃貸住宅管理協会は11月10日、オンラインで「日管協フォーラム2020」を開催しました。
参加者は750社・3,160名に達し、大盛況でした。
同協会のあんしん居住研究会は、外国人居住問題に関してパネルディスカッションを実施。その中で、有識者代表として東日本国際大学客員教授・西園寺一晃先生によるインタビュー動画「外国人の動向と賃貸マーケットの今後について」を放映し、大きな反響を頂きました。
西園寺先生のインタビューでは新型コロナウィルス後における諸問題、その解決について徹底的に分析していますので、ぜひご一読ください。
訪日外国人は今後確実に増える!
これからの訪日外国人についてですが、今は新型コロナウィルスの問題があって一時的にストップしています。しかし、中長期的に見れば確実に増えていきます。だいたい4つの方面からだと思います。
1、観光客
私の専門は中国なので他の国はあまり知りませんが、例えば中国の場合、日本に来たい人たちが潜在的には数千万人単位でいます。コロナ後はどんどん日本にやってくることでしょう。
2、留学生
留学生はもともと増える傾向でしたが、最近は米中の摩擦があって、中国の若い人たちがアメリカになかなか行けなくなった。それで日本シフトが始まると思います。米中の確執は長期化し、なかなか解決しないと思いますので、結果として日本にくる人たちが増えるでしょう。
3、勤労者
働きにくる人たちも増えます。今はないですが、日中あるいは日中韓のFTA(自由貿易協定)がいずれできます。そうすると物の交流だけでなく、人の交流、つまり働きにくる。これは非常に高度なITの人材から介護の人材までたくさんの人が日本にきて働く。日本の場合は少子高齢化で労働力が減少しています。ですから、需給関係において中国が一番多いですけれども、アジアから人がやってくる。これが3つ目です。
4、アジアの事業家が日本にやってくる!
これまでは、日本が中国にどんどん出て会社を作ったり、工場を作ったりしていました。今後は中国あるいは東南アジアから日本で会社、事務所を作る、連絡事務所を作るといったケースがどんどん増えると思います。これも結果論ですが、やはり米中の確執の中で、なかなか中国からアメリカに進出できなくなった。したがって、日本シフトするということがあると思います。
この4つの方面のうち、観光客の場合は短期ですから日本でアパートを借りませんが、その他の人たちは日本で住む場所を探します。日本の大学とか会社というのは、宿所を完全には持っていません。だから、自分たちで解決しないといけない。あるいは会社や大学がアパートを借りて、そこに住んでもらうというケースがどんどん増えてくると思います。
従ってこの4つの面からみて、一番多いのは中国人だと思いますが、これから日本にくる外国人は増えてくると思います。
グローバルな往来は文化衝突を伴う!
1、外国人は日本文化を知り、日本人は外国人を最大限に尊重するべき
その一つは、日本には郷に入っては郷に従えという言葉があります。外国の方たちに日本を知ってもらう、日本のやり方、風俗、習慣、管理形態などをきちんと知ってもらう必要がある。
同時に、日本側としては日本に来る人たちの文化を最大限に尊重しないといけない。その両面で考える必要があるでしょう。
2、日本は多民族社会に変化!
日本は国としてやはり一つの戦略を立てるべきだと思います。それは単なる、アパートやマンションの管理規定を教えるだけではなくて、もっと国として日本の文化、日本の言語等をもっと世界に発信していく、日本の文化を学んでもらう中で、日本でいろんな規定などをセオリー化してもらうべきでしょう。
多民族社会に備え、平和なシステムを作る!
これは個人や1団体ではできませんので、やはり国が中心になって、それから賃貸を含めた不動産業界あるいは観光業界、大学・高校つまり教育界を含めて一体となって、そうしたことを考えていく必要があると思います。そういう中で、他民族社会であってもトラブルが少なくなるように、トラブルが起きても平和的に解決できるようなシステムを作っていく必要があると思います。
■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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