「日本女性作家協会会長」弥生氏のエッセイ集「桂花之下(甘い香りのキンモクセイの下で)」シェアリング会レポート

2024年1月25日に日本華文女子作家協会は、東京の虎ノ門にある中国文化センターで、辰年初めての文学イベント「『桂花之下』(甘い香りのキンモクセイの下で)新書のシェアリング会」を開催しました。

中日本華文女性作家協会とは

日本在住の華人女性作家を中心とした民間組織です。2019年に東京で設立されました。協会の趣旨は「文学を基とし、日本の華文女性作家のオリジナル作品を紹介し、中日両国の文化交流と友好を促進すること」です。

弥生氏の新作ー「桂花之下」(甘い香りのキンモクセイの下で)が発表

「桂花之下」(甘い香りのキンモクセイの下で)は、「長河文丛」の企画により、団結出版社より発行されました。日本女性作家協会の会長である弥生氏の新作です。

この作品は、2020年から2023年のコロナ禍に弥生氏が自身の暮らしと人生についての考えをまとめたものです。

【日本の国会議員・海江田万里氏も祝福】

同会には、日本各地から作家や文学愛好家だけでなく、新聞メディア、華文教育、美術設計、絵画、書道、舞踊などのさまざまな分野のリーダーも出席しました。会議開始前、日本の国会議員である海江田万里氏も中国文化センターに訪れ、汪鐘銘氏の書法展を鑑賞後、新書のシェアリング会の成功を祝福をしました。

【日本華文女性作家協会の副会長・杜海玲氏が司会】

司会を務めたのは、日本華文女性作家協会の副会長である杜海玲氏。杜海玲氏は次のように述べました。

「なぜタイトルを『シェアリング会』としたかというと、著者が『皆さんに自身の文学的な考えを心から共有したい』と願っているからです」
「今後は日本で生活する華人がより多く文学創作の一員として加わり、この土地での生活の体験、思考、実践、迷いや不安、苦悩、努力や成果などを文学作品として書き記し表現することを願っています」「時間や経験は複製できません。弥生氏が書き残したものは、おそらくただの試みかもしれませんが、その中から貴重なものが生まれることを期待しています。もしそれが実現すれば、今日のシェアリング会は期待通りの成果が達成できます」

と述べました。

【中国国内あらの祝福電報が届くー「長河文丛」の編集長、詩人、詩の評論家でもあるマ・キーダイ氏より】

その後、国内からの祝電が紹介されました。祝電は詩人・詩の評論家・「中詩オンライン」総編集長・「長河文丛」編集長でもあるマ・キーダイ氏からのもの。祝電は以下のとおりです。

「『桂花之下(甘い香りのキンモクセイの下で)』新書のシェアリング会の開催をお祝い申し上げます。 弥生氏の『桂花之下』新書のシェアリング会の開催を喜ばしく思います。この本の編者として、私は参加できないものの、著者と同様に光栄に感じています。心は現地にいるかのように感じています」

「『桂花之下(甘い香りのキンモクセイの下で)』は、弥生にとって過去3年間の美文の集大成であり、彼女の2冊目の散文集でもありますが、彼女の新たな自己を証明する文学的な作品です。詩人として、彼女の筆からは中国語の芳香が流れ、日本文化の雰囲気も漂っており、また濃厚な詩意と鋭敏な生命の感受性も感じられます」

「弥生にとって40年の異郷生活を経て書かれたこの散文作品は、国の発展の背景や個人の生存と創作の背景においても、記念すべき意義を持っています。彼女はこれらの生命の経験と美的な体験に満ちた文章で、自身の人生と精神を伝え、運命や生命の昇華に打ち勝つための変化を証明しています。その意味で、これは美の創造を反映した魂の書です」

「弥生氏がこの優れた散文集を『長河文丛』に提供してくれたことに感謝します。中国本土の友人や読者を代表して、心からの祝福と最良の願いを表明します」

と述べました。

「桂花之下」(甘い香りのキンモクセイの下で)の著者・弥生氏から挨拶

続いて弥生氏が挨拶を述べました。

「まず、ご出席いただいた皆様、心から感謝申し上げます。」

2016年、私はここで文学講座を開催したことがあります。その講座のテーマは『日華文学三十年』でした。その後、国内外で多くの会議に参加しましたが、毎回同じテーマを取り上げてきました。私は常に自分には使命があると考えています。それは、少しの努力で国内の学者や海外に住む人々に、日本の華文文学や私たち日本在住の華人の生活、心の旅路を理解してもらうことができるようにすることです」

「過去の日中戦争の歴史のために、中国と日本は他の国とは異なる関係を持っています。おそらくそれは感情であり、または憎しみでもあり、日本在住の私たちは常に「日本」という言葉によって多くの理不尽な状況やさまざまな尴尬に直面してきました

しかし、ここで生活を選んだ私たちは、海外で生活している他の華人と何ら変わりはありません。最初の困難な状況から今日まで歩んできたのは、より多くの努力と献身を行ったからです」

「私は1984年に日本に留学して以来、今年12月でまる40年が経ちます。

40年間の日本で、私はここにいる皆さんと同じように、泣いたり笑ったり、苦しんだり悲しんだり、迷ったり失望したりしましたが、ただ一つだけ、諦めたことはありませんでした。私たちが過去にどれほど苦労し、貧しくとも、どれほどの困難にぶつかり、どれほどの壁にぶつかったとしても、私たちは最終的にそれを乗り越え、迷いから脱し、4.5畳の賃貸アパートから今のように「小さな庭付きの住まいを買い、そこにキンモクセイの木を植える」までの道を歩んできました。

ですから、私が日本で歩んできた道は、ここにいる多くの友人たちの経験かもしれません。職業は異なっていても、心の旅程にはいくつかの共通点があるのです」

「これが私が皆さんとこの「桂花之下」というエッセイ集を共有する理由です。小説の物語は架空のものであり、詩は一時の感情を表現するだけですが、エッセイ集は間違いなく作者の真実の生活と感情を反映しています。

私はよく考えます。私たちが住む日本のこの土地、この多難な島国の環境と文化には、国内または他の国に住んでいる人々と比べて、いくつかの微妙な違いがあるということです。これらの違いは、何度か旅行に来るだけでは感じられないものかもしれません。それは、この土地にしかない繊細で微妙な、平和で我慢強く、抑制された、礼儀正しい風土や人情などです。

時には、それは花や草かもしれません。雲や月かもしれません。神社の鳥居や寺院の枯れた庭石かもしれません。時には、地震後の廃墟や悲しみかもしれません。空っぽの通りや満員の電車の静けさかもしれません。おそらく、桜が満開になった美しさに感動した後、風雨で散ったことに寂しさを感じることもあるでしょう。これらはすべて、この土地と文化に特有のものであり、私たちもそれに溶け込むことができるときに、これらの独特の文化と文明を感じることができます」

「この地で40年近く生活してきた私にとって、これらの文化や文明の影響は、私の本来の迷いや混乱した心を徐々に静かにし、坦然とさせ、それらの教えや理論を断ち切り、自分自身を良い人になるよう努力し、自分がなりたい人になるよう努めることに徐々に励ましを与えてくれました」

「この小さなエッセイ集が、読者に喜びをもたらすことを願っています」

まとめ

使命感をもち、日本の華文文学や在日華人の生活を理解してもらうことに献身している弥生氏。

彼女の言葉からは、日本での生活が挑戦と成長をもたらしたこと、日本の文化や風土が自己成長を助けたことがよく伝わります。エッセイ集「桂花之下」は、弥生氏の日本生活から得た洞察力や感情を反映しています。同書が読者に喜びをもたらし、日本の文化や生活に対する理解を深めることを願っています。

次回は感想文を述べたたくさんの参加者からの発表もぜひ聞きたいと思います。

ご期待ください。

【写真は主催側と李振渓氏提供】

 

■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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