
2025年5月、政府は年金制度改革法案を国会に提出しました。
少子高齢化や多様化する働き方に対応するため、年金制度の見直しが進められているのが現状です。
本記事では、主な改正ポイントとその影響をわかりやすく解説します。
海外在住の方にとって注意すべき点・確認が必要なポイントとあわせてご覧ください。
社会保険の適用範囲が広がる(年金制度改革法案の変更点①)
短時間労働者や中小企業の従業員が、厚生年金や健康保険に加入しやすくなります。
現在は従業員51人以上の企業に、短時間労働者を厚生年金に加入させる義務が生じていますが、今後この従業員数がさらに少人数になる見込みです。
海外在住者が一時帰国して短時間の仕事をする場合でも、厚生年金に加入できる可能性が生まれるため、再就職など条件とあわせて検討すると良いでしょう。
在職老齢年金制度が緩和される(年金制度改革法案の変更点②)
働きながら年金を受け取る高齢者に対する年金減額基準が緩和されます。
具体的には、これまで支給停止の対象は収入額50万円だったものの、62万円までに引き上げに。
海外に居住しながら年金を受給している人が日本で働く場合も、この影響を受けます。
年金の減額が緩和されることで、労働と年金受給の両立がしやすくなるでしょう。
遺族年金制度の見直しが進む(年金制度改革法案の変更点③)
遺族年金の受給条件が見直され、男女間の格差が是正されます。
あわせて、子どもがいる場合の加算額が引き上げられます。
改定後は子ども1人につき281,700円となり、子ども3人目からの加算額も1~2人目と同額に。
画像引用:遺族厚生年金の見直しについて|厚生労働省
なお、海外在住の家族が遺族年金を請求する場合は、受給資格や手続きに影響が出る可能性があります。
今後の制度変更を踏まえ、手続きや受給条件をしっかり確認することが大切です。
高所得者に対する厚生年金上限が引き上げられる(年金制度改革法案の変更点④)
厚生年金の標準報酬月額の上限が引き上げられ、なかでも高所得者の保険料負担は増えます。
日本で高収入を得ながら一時的に働く海外在住者も、この改正の影響を受ける可能性があるため最新情報の確認が必要です。
将来的な年金額の増加を見越したライフプラン設計が求められます。
iDeCoの加入可能年齢が延長される(年金制度改革法案の変更点⑤)
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できる上限年齢が、70歳に引き上げになります。
これにより、60代以降も老後資産を積み立てる選択肢が広がることに。
海外在住の日本人が国内居住者としてiDeCoに加入している場合、資産形成の期間が伸びることで、より柔軟な資産運用の可能性が広がります。
年齢制限に関する最新情報の把握をしながら検討すると良いでしょう。
海外在住者が注意すべき3つのポイント
日本の年金制度に関わる海外在住者が、今回の制度改正で混乱しないためには、次のような点を押さえる必要があります。
ポイント1.年金受給資格期間の確認
→日本の年金を受け取るには、原則として10年以上の加入が必要です。任意加入や社会保障協定を活用して、受給要件を満たすよう工夫しましょう。
ポイント2.年金の受給手続き
海外在住者は受給手続きが異なる場合があります。必要書類や申請方法について、日本年金機構または在外公館などに相談するのがおすすめです。
ポイント3.為替リスクへの備え
年金を外国通貨で受け取る場合、為替の影響によって実際の受給額が変動することがあります。将来的な通貨の変動を見越した資金計画を立てることが重要です。
なお、今回の年金制度改革法案の詳細は厚生労働省のページにて確認できます。
年金制度改革法案の理解を深めて、将来に備えよう
年金制度改革は、すべての世代に影響を及ぼします。
特に海外に住んでいる方にとっては、受給資格の確認や手続きの準備がこれまで以上に重要です。
制度の変更点をしっかり把握し、自分自身や家族の将来設計に役立てましょう。
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