4月17日、全日本華僑華人団体連合会と日本中華総商会の主催で目黒雅叙園ホテルにて、イトーヨーカ堂の取締役会長・三枝富博氏の講演会が開催されました。
講演のテーマは「企業文化を軸に、激変する環境に適応する」。日本企業の経営者や華僑華人など約200人が参加しました。三枝氏は、海外での経験を踏まえながら、企業文化の重要性や変化する環境への適応について力強いメッセージを伝えました。筆者も出席してきましたので、その公演の一部をご紹介いたします。
■プロフィール
名前:三枝 富博(さえぐさ とみひろ)
• 1949年神奈川県出身
• 1973年明治大学法学部卒業
• 1976年大和証券入社
• 1976年イトーヨーカ堂に入社
• 1996年イトーヨーカ堂中国初出店のプロジェクトメンバーとして中国室に異動
• 1997年中国1号店となる成都イトーヨーカ堂に出向し、総経理・董事長などを歴任
• 2011年イトーヨーカ堂執行役員 中国室長
• 2013年同社常務執行役員 中国室長
• 2016年同社常務執行役員 中国事業部長
• 2017年同社 代表取締役社長 就任
• 2022年同社 取締役会長・日本チェーンストア協会会長就任、食品産業功労賞 受賞
ご来賓主催者側のご挨拶
同講演会には、全華聯理事長の賀乃和氏、全華聯会長の何徳倫氏、中華総商会評議会会長の嚴浩氏、大使館経済商務部の秘書官である李秀明氏や焦瑤氏などが出席しました。
全華聯会長の何徳倫氏は、同講演会の意義、目的、そして講演者である三枝氏の中国での20年の経験についてご紹介しました。何徳倫氏は挨拶の中で次のように述べました。
今回は、華僑華人の経営者たち向けに初めて開催される講演会。全華聯にとっても特別な日であり、また全華聯と中華総商会が共同で講演会を開催する初めての試みでもあります。全華聯は、日本において115の華僑華人団体が加盟する連合体であり、その目的は華僑にサービスを提供し、中日の民間友好交流を促進し、祖国の経済発展を支援することです。日本中華総商会は、全華聯の最初の8つのメンバー団体の1つであり、日本で最も多くの会員を持つ華人商工会です。私たちは、イトーヨーカ堂の三枝富博会長に、日本の華僑華人経営者向けに中日ビジネスセミナーを行っていただけることを非常に光栄に思っています
イトーヨーカ堂は、中国でもよく知られているスーパーマーケットです。同社は人間性を重視した経営を行う大企業として模範的な存在と言えます。イトーヨーカ堂は中国の四川で数々の感動的なエピソードが知られており、その中には四川地震の話があります。地震発生後は従業員と顧客の安全を最優先に考え、被災翌日から営業を始め、四川の人々の生活必需品の需要を満たしました。このような姿勢は、多くの人々から尊敬されています。
三枝氏は、中国での20年間の勤務を通じて、中国の経済建設に大きく貢献し、中国でのフランチャイズ店舗事業を発展させました。
2023年9月28日、三枝氏は中国政府の総理に会見し、政府から海外専門家を讃える最高の栄誉賞「中国政府友誼(ゆうぎ)賞」を授与されました(30名の学者と教授が受賞しましたが、三枝富博氏は唯一の日本の企業家でした)。
2023年1月15日の華人春晩で、全華聯は三枝氏に「中日友好民間大使」の称号を授与しました。これは、中日友好に貢献した日本人として全華聯が授与した6人目の称号です。
公演会の主な内容
講義は5つのテーマでお話を頂きました。
2、イトーヨーカ堂企業はどのような形で変遷してきたか?
3、20年間中国でどのようなに挑戦し、どのような企業として生き残ってきたか?
4、ビジネスに持続可能にする軸とは?
5、今後社会はどう変わるのか?変化する社会の中で大きなものさしを持ち、トライしていく必要性について
90年代中国に出向し、成都市に店舗を立ち上げる
イトーヨーカドーの社員時代、90年代半ばの中国出向。成都市にまだ日本企業がほとんど進出していない状況下で、三枝氏は勇気を持って海外店舗の立ち上げに取り組みました。当時の中国は未知の領域であり、さまざまな困難が待ち受けていましたが、三枝氏は果敢に立ち向かいました。
社員育成と地域密着
三枝氏は、地域密着型のビジネス展開と社員育成を重視しました。地域の文化や消費者の嗜好を踏まえた店舗運営は顧客の支持を得ることに成功。また、彼は現地の人材を育て、地域社会との絆を深めることでビジネスの持続可能性を高めました。
さらに、政治的な波風にも立ち向かいながらも現地の人々の気持ちを汲み取り、適切な対応を行い、次々と店舗を拡大し、成功を収めました。三枝氏の地道な努力と柔軟な姿勢が、成功の鍵となったのです。
顧客のニーズを最優先
三枝氏の経験から得られた教訓は、顧客のニーズを最優先にすることの重要性です。変化に柔軟に対応する姿勢が成功につながったのです。三枝氏の経営理念や企業文化は、現場経験に基づいていました。それが個人的には非常に印象的です。
経営理念と企業文化
三枝氏は長年、経営の師である稻盛和夫氏に師事し、数十年にわたり経営管理の研究と学びに没頭しました。その学びを会社経営に活かし、数十年の実践経験を積み重ねてきました。
三枝氏の講演は、華僑華人経営者に対して有益な中日企業経営の理念と収穫をもたらし、最後には会場から熱烈な拍手を受けました。
まとめ
三枝氏は多忙の中、全華聯と中華総商会が共同主催する講演会で素晴らしいスピーチをされました。主催側両団体は、在日華僑華人経営者へのサービス提供と中日の経済交流促進、経営管理水準向上に共同で取り組むことを約束しました。
同講演会は、王秀德氏のご好意により企画・運営され、全額のスポンサーシップを提供。また、組織委員として張書明氏、周密氏、黄平氏、潘宏程氏、劉旭杰氏、齊玥氏、徐佳鋭氏、吳曉樂氏、孔怡氏などが尽力にされました。
全華聯と総商会のリーダーシップチームや参加したすべての会員経営者の熱心なサポートが成功に導いたと言っても過言ではありません。
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■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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