オンラインショッピングが盛んな現代、配送業はなくてはならない仕事です。オンラインショッピングの需要が高まる一方で、同業界では人手不足が叫ばれています。日本で働きたい外国人にとって人手不足の業界はチャンスともいえます。しかし、いざ働くとなるといろいろな問題があります。在留外国人は現在の日本の配送業界をどのように見ているのでしょうか。
226ヵ国13万人以上の在留外国人が登録している日本最大級のメディアを運営する株式会社YOLO JAPANは、在留外国人を対象に「配送サービス」に関するアンケート調査を実施しました。在留外国人の配送業に対するリアルな声をご紹介します。
※アンケート実施期間:2019年9月30日~2019年10月30日 回答者数:94ヵ国915名
1. 日本の配送サービス企業で「働いてみたい」と回答したのは72%
アンケート調査の回答者のうち、10%(89人)は配送業の経験者でした。それに対して、日本の配送業企業で「働いてみたい」または「給料が良ければ働いてみたい」と回答したのは72%(656人)。ちなみに、希望する月給は、20〜29万円の42%(277人)が最も多く、次いで30〜39万円(21%、141人)、18〜19万円(11%、69人)という結果となりました。
働いてみたい配送業で最も人気だったのが「Uber」のような自転車便が39%(259人)、ドライバーが28%(182人)、バイク便が26%(174人)。働きたい理由としては「体型維持のため」、「日本のいろんな場所に行ってみたいから」、「自転車に乗るのが好き。工学部でエンジニアの勉強をしているので、物流のマネジメントも興味がある」、「収入のために副業でやりたい」など実にさまざま。収入面だけでなく、体型維持のためから日本の土地を知りたい、自分の知見を広げたいなど、自分なりの目的を持っていることがわかりました。
2. 働く上で不安な点トップ3は「言語」「土地勘」「コミュニケーション」
配送業で欠かせないのが運転免許証。どれくらいの人が持っているのでしょうか。
「はい」と回答したのは全体の29%(269人)。今はないものの今後「取得予定」と回答したのは34%(311人)と、合わせて6割以上が日本でドライバーとして就労する可能性があることがわかりました。
働ける可能性がある在留外国人が多いものの、配送業をする上での不安は運転ばかりではありません。聞いてみると、やはり日本語に対する不安が圧倒的に多いことが判明。「言語」と回答したのが47%(431人)、「土地勘の有無」が36%(331人)、「コミュニケーション」が35%(323人)という結果になりました。
運転ができたとしても、日本語でのコミュニケーションと土地勘がないことは、大きな不安感につながっています。ここをクリアにしなければ、いくら運転ができても就労の一歩を踏み出すことは難しいと言えます。
3. 「言語」は利用者としても課題になっている
今度は質問を変え、利用者として日本の配送サービスについてどう思うかについて聞いてみました。日本の配送サービスで良いと思うことはありますか?と聞いてみると、全体の98%(893人)が「はい」と回答。その理由は「早くて、時間通りに届く」「親切で丁寧、安全」「再配達ができる」とのことです。
利用者として、自身がよく利用しているサービスについても聞いてみました。すると最も多いのが日本郵便(85%、777人)、次いでクロネコヤマト(74%、674人)、佐川急便(54%、497人)と続きました。
そんななか、日本の配送サービスに対して提案したいこと・改善点について聞くと「ウェブサイトの多言語化」、「英語が話せる配送スタッフの増員」という言語に関する改善点が多くあがりました。外国人が増えている現状でありながら、多言語化が進んでいないことが大きなネックとなっていることが改めてわかりました。
4. 海外の配送事情はどうなの?
在留外国人から好評な日本の配送サービス業ですが、世界的に見るとまだまだ遅れている部分も大いにあるようです。例えば、日本にない母国の配送サービスについて聞いてみたところ、ベトナム人女性は「バイクでの配送サービスアプリで、料理・クリーニング・宅配便・家事代行サービスなどを注文できる」と回答。アメリカ人女性は「ドローンでの配送サービス」、韓国人女性からは「SNSで配送予定時間を報告してくれる。不在時は安全な場所に荷物を置いて写真を送ってくれる」とのこと。日本でもドローンやSNSは大分浸透しているように感じますが、まだビジネスでは未開拓な部分も多くあることがわかりました。
まとめ
今回の調査では、日本の配送業に対する在留外国人の気持ちがわかっただけでなく、利用者目線から見た改善点や新規アイディアも垣間見えました。在留外国人の意見が、今後の日本の配送業に新たなビジネスモデルを見出す可能性が大いにわかりました。在留外国人は言語など不安要素もありますが、まずは自分でできる部分は勉強しつつ、今後日本の教育体制もさらに必要とわかった調査と言えるでしょう。在留外国人は日本で生き生きと働けるように自分で準備できることは準備して、日本の企業も彼らを受け入れる教育体制を整えるなど、双方の自助努力は必須です。今後、在留外国人の存在によって国内企業の多言語化が進み、新しいソリューションやサービスが生まれることを期待したいものです。
■出典:PRTIMES