コロナはすでに私達の身の回りに潜んでいます。本日は、稲葉先生が体験したコロナ患者との実際体験をそのまま記録し、これが読者のコロナ予防に役立つことを願います。また以下の内容は、稲葉先生の個人見解でもありますので、ご参考になれば幸いです。どうぞ御覧ください。
■プロフィール:稲葉 貞子
・中国吉林省出身40代
・中国国家資格:中国中医師
・日本国家資格:はり師免許、きゅう師免許取、あん摩マッサージ指圧免許、登録販売者取得
・北里大学東洋医学研究所 鍼灸臨床研修終了
・現在東京安泰漢方鍼灸院院長
【風邪かコロナか区別がつかない】
━━━貞子先生の患者さんがコロナにかかり、その初期対応に先生がかかわったと伺いました。その経過を話して頂けませんか?
貞子先生:そうですね、これはコロナが本当に身近くいると実感した出来事でした。8月10日に私の患者Mさんのご家族におきた実話です。まずはMさんの次女が38度の熱があるとのことが始まりました。
【Mさん家族にとって8月10日は悪夢の始まり】
【普通の風邪と同じ症状】
━━━Mさんご家族の病状はいかがでしたでしょうか?
貞子先生:以下はMさんの次女、長男の症状記録です。普通の風邪と同じ症状でした。
Mさんの次女:8月10日、発熱39度、食欲不振、節々の痛みを訴え、漢方「麻黄湯」を飲ませたところ、2日後に軽い咳だけでほかの症状はなくなりました。
Mさん長男:立て続けに、Mさんの長男が40度の熱に、喉の痛み、節々の痛み、食欲不振など同じ症状を訴え、同じく漢方「麻黄湯」を飲ませました。長男も2日後鼻水だけほかの症状はなくなりました。ここまでは、普通の風邪かと思いました。
38度の熱では、PCR検査を受けてもらえず
━━━その後Mさんのご主人もMさんも熱が出たと伺いましたが、病状はいかがでしたでしょうか?
貞子先生:はい、以下はMさんのご主人の症状記録です。
Mさんのご主人:子供たちが直った矢先で、Mさんのご主人が38度の熱、喉の痛みを訴えました。念の為、手元にある抗原検査キットで検査した結果は陰性。すぐ保健所が案内した病院に電話しましたが、PCR検査を受ける時期ではないと断られました。
仕方なく自宅で漢方「麻黄湯、桔梗湯、黄連解毒散」を服用させました。38度左右の熱がなかなか下がらないので、ほぼ毎日保健所が案内した病院へ連絡しました。38度の熱では、受診受付をしてくれませんでした。時間の経過と共に咳の音が最初と違うので、漢方「清肺湯」をすすめました。
Mさん本人:そのうち、Mさんも風邪かなと感じて、自宅の抗原検査キットで検査した結果は陽性でした。
PCRを受け、家族全員陽性と判明
━━━家族全員は、PCRを受けましたが、どんな状況でしたでしょうか?
貞子先生:その後夫婦とも38度で、保健所でPCRを受けられました。夫婦とも抗原検査結果が陽性と判明されました。
夫婦が陽性と診断された2日後、子どもたちもPCR検査を受けましたが、結果は陽性でした。子供たちは、検査を受ける当時、症状は全くなかったです。
保健所の対応
陽性診断を受けたMさん夫婦は、病院からカロナールだけもらい、保健所からは、当時の症状で自宅療養をすすめた上に、バルスオキシメーター(酸素濃度計り)および使用方をポストインしてくれました。
コロナ病状悪化「えみクリニック東大前」に連絡
━━━Mさんご夫婦がコロナと判断されてから、どう対応されたのですか?
貞子先生:Mさんの主人は少しずつ良くなりましたが、最後にかかったMさんの症状は日々重くなってきました。熱が40度、酸素飽和濃度が94になりました。しかし基準が93以下とのことで、保健所からは現状観察だけと言われました。
もしものことを思って、すぐ「えみクリニック東大前」にLINE診察を申し込みました。熱が40度までなり意識が朦朧となったMさんが予約した時間を逃しましたが、再び連絡すると、吉永先生は優しく診察をしてくれました。
コロナ診察および対応に経験豊富な吉永先生の手配で2時間以内に薬をポストインで届いてきました。
現在上記に書いた通りに、Mさんご夫婦はコロナ後療養中です。
後遺症
━━━コロナにかかり、重症にはならずでよかったのですが、その後はどうですか?
貞子先生:先月Mさんご家族4人がコロナにかかって、やっと病み上がったばかりです。現在、Mさんの子供たちには、目立つ後遺症が見られませんが、Mさんのご主人は無気力感で血液検査した結果、糖尿病の疑いがあり、Mさんは時々深い咳、激しい頭痛と火照り感があるようです。
変異株には更に注意が必要
━━━貞子先生に教えて頂きたいですが、私達は今後どのように予防すればよいでしょうか?
貞子先生:コロナ新規陽性者数は減少していますが、飛び交っている変異株のニュースを聞くと気を緩めません。Mさんの事例からこのご情勢で2点は必ず注意をしてほしいと思います。
第一、コロナ予防
・マスク・手洗い・うがいをしっかり守り、3密を避けること
・BMJ(British Medical Journal)雑誌に載せた観察研究結果により女性に優位さがある、マルチビタミン・オメガ3系脂肪酸・プロバイオティクス・ビタミンDをすすめます。ただ、過剰接収は禁物。
・十分な睡眠・規則正しい生活を行うこと
・肺経絡マッサージを思いついたらすること
第二、風邪きみを感じた時に備えをする
Mさんの事例からも、一般的にPCR検査をしない限り、初期段階では普通の風邪かコロナか判断しにくいです。そして熱がある場合、受診できる病院が限られています。都道府県のマニュアルはこちらで重複しません。個人の体験から備えればよかったと思ったことを述べます。
①発熱した場合、すぐ診察してくれる病院を調べておくこと。(日本の文化でかかりつけ医をお勧めです。かかりつけ医に発熱外来があるか確認しておきましょう。発熱する場合診察せず保健所に回す場合があります。)
②市販の抗原検査キット2、3個手元におくこと、(100%検出できると断定できませんが、一定の判断材料にはなります。)
③初期症状では一般的に解熱剤しか処方しないケースが多いです。(コロナに診断された場合、漢方も処方する病院を事前に調べておくか、手元に日本中医協会がすすめする漢方を用意すると便利です。)
④コロナが治った後、いろんな後遺症で苦しむ方が多いです。時間の経過に任せて良くなることもありますが、病み上がりでは体力消耗も激しかったことで、栄養摂取はもちろん、場合によって症状に合う漢方を勧めます。漢方相談は漢方医か漢方薬局に。
⑤重症状の場合、入院先に治療方針を任せること。
お問い合わせは、直接安泰漢方鍼灸院へhttp://antai.link/
■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
⇒より詳しくはこちら