【祝】伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に!日本文化の新たな誇り

2024年12月4日(水)午後3時43分(日本時間12月5日午前3時43分)、ユネスコ無形文化遺産保護条約第19回政府間委員会において、日本が提案した「伝統的酒造り」が正式に無形文化遺産に登録されました。

日本の酒造りは1000年以上にわたり受け継がれてきた伝統です。特に評価されたのは、日本固有の「こうじ菌」の活用。このカビの一種を用いた独自の技術は、日本独特のものであり、今回の登録の決め手となりました。

近年では、伝統的な技法を生かしながら、これまでにない新しい味わいを追求した酒が誕生し、海外市場でも高く評価されています。日本の酒造りは、長い歴史に裏打ちされた伝統と革新の力で、その魅力をさらに世界に広げています。

日本の酒 特徴は「並行複数発酵」

日本の酒には、日本酒をはじめ、焼酎、泡盛、みりんなどがあり、これらは世界的にもユニークな製法によって造られています。

例えば、日本酒は最大で約20%のアルコール度数を持つ一方、同じ醸造酒に分類されるワインは約15%です。このことからも分かるように、日本酒の製法は、世界的に見ても際立った特徴を持っています。その背景にあるのが、並行複発酵と呼ばれる日本独自の発酵法です。この発酵を支えるのが「こうじ」の存在です。こうじとは、米や麦などにこうじ菌を繁殖させたもので、漢字では「麹」または「糀」と書きますが、ここでは酒税法に倣い平仮名で表記しています。

ちなみに、並行複発酵とは、こうじの力で原料のデンプンを糖に分解する過程と、酵母の力でアルコールを生成する過程を同時に行う発酵様式を指します。これにより、ワイン(単発酵)やビール(単行複発酵)とは異なり、高度な発酵管理が可能になります。

また、酒の造り手である杜氏(とうじ)や蔵人たちは、近代科学が普及する以前から、経験の蓄積を通じて酒造りの製法を探り出し、精緻な手作業の技術として発展させてきました。その伝統は今も息づき、日本の酒文化を支えています。

伝統的酒造り〜ポイントは3つのわざ

日本の酒造りは古代に起源を持ち、長い歴史の中でその技術は高められ、酒の品質も飛躍的に向上してきました。

酒造りの工程は非常に複雑であり、酒の種類によっても異なります。そのため、今回のユネスコ無形文化遺産登録では、酒造りの共通基盤であり、最も重要な工程であるこうじ造りに焦点が当てられました。

伝統的酒造りの技術には、以下の3つのわざがあります。

  1. 原料を処理するわざ
  2. こうじを造るわざ
  3. 発酵を管理するわざ

原料を処理するわざ

ここでは水分調整と蒸す作業を経て、酒造りに適した状態に原料を整えることとしています。例えば日本酒の場合、ストップウォッチで時間を計りながら原料の吸水量を調節することもあります。

2こうじを造るわざ

ここでは米または麦に、酒造りで伝統的に用いられてきたこうじ菌を繁殖させること、及び、木蓋・木箱(もしくはこれに準じた機能をもつ器具)を使って作業を進めることとしています。木蓋等を用いた作業では、繊細なわざによって製造途中のこうじの温度や湿度を調整するため、高度な技量が要求されることとなり、酒造りの核心的なわざのひとつとなっています。こうじ菌等の様子を観察しながら次の作業へと移るタイミングを見極めることも重要なポイントです。

3発酵を管理するわざ

もろみの状態を見極めながら、並行複発酵を適切に進め、目的とする酒の味や香り等を、水以外の物品の力を借りることなく実現することとしています。

以上のように、伝統的酒造りのわざは、古代から連綿と続く長い歴史を持ち、その中で培われた高度な技術は現代においてもしっかりと受け継がれています。みなさんも、この食文化に秘められた素晴らしいわざにぜひ目を向けてみてはいかがでしょうか。

まとめ

「伝統的酒造り」の無形文化遺産登録は、日本文化の深さと独自性を世界に示す大きな出来事となりました。この登録は、酒造りの持つ独自の技術や文化的意義が国際的に認められたことを意味します。

日本酒や焼酎などの製造過程では、伝統的な道具や手法が用いられ、職人たちの技術が世代を超えて受け継がれてきました。この伝統の保護と発展は、地域の活性化や観光の推進にも寄与することが期待されています。

今回の登録を契機に、日本の酒文化への理解と関心がさらに高まり、次世代へとその価値が引き継がれていくことを願っています。

※資料写真は文化庁参考

 

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