今年の秋は、やっと涼しさを感じる時期になりましたが、皆さんは秋といえば何を思い出しますか?
私にとっては中秋の名月が毎年の楽しみですが、今年はなぜか三つの中秋を過ごしたような気がしています。それは、東京に住んでいる韓国の友人が色鮮やかな松餅を持ってきてくれたからです。そういえば、中秋の名月にはいつも韓国に里帰りしていましたが、今年は事情があって行けませんでした。
今年の夏は格別に暑く、また長かったため、中秋の気配が感じられないように思えましたが、東京の商店にはすでに中秋の食材や月見団子が並んでいました。
友人の鄭さんによると、韓国では「秋夕」と呼ばれ、この時期にはお墓参りに行き、松餅を食べ、親戚が集まり盛大に賑やかに過ごすのだそうです。
私は日本と中国の中秋にも少し違いがあることを認識していましたが、韓国も中国や日本と似ていながら異なる文化があることを感じ、興味を持って鄭さんに詳しく聞きました。
鄭さんは嬉しそうに私に細かく説明してくれました。その話を元に資料も含めてまとめてみました。
日中韓の隣国が持つ似た文化と少し異なる秋の文化をまとめてみたいと思います。どうぞご覧ください。
日本中国韓国の秋夕について
日本、中国、韓国の秋夕(チュソク)や中秋節に相当する行事には、それぞれ異なる伝統と文化的な意味があります。それぞれの相違点を詳しく見てみましょう。
日本:十五夜
- 時期:旧暦8月15日(主に9月の中旬から10月上旬)
- 主な内容:日本の十五夜(中秋の名月)は、月見を楽しむ風習が中心です。月を見上げて感謝の気持ちを表し、豊作を祈るのが一般的です。
- 食べ物:お月見団子、里芋、栗などの季節の収穫物
- 目的:主に秋の収穫を祝うもので、祖先供養の意味合いは比較的薄いです。家族で月を愛でながら、季節の移ろいを楽しむ行事です。
- また、日本の「お盆」も、祖先を供養し、家族と過ごすという点では共通していますが、時期が少し違い、お盆は8月中旬に行われます。
中国:中秋節(中秋の名月)
- 時期:旧暦8月15日(主に9月の中旬)
- 主な内容:中秋節は、家族の団らんと満月が象徴する「団円」(家族の円満)を祝う日です。人々は家族で集まり、特に月を眺めながら一緒に過ごします。
- 食べ物:月餅(中に餡やナッツ、卵黄などが入った伝統的な菓子)
- 目的:中秋節は(韓国の秋夕と似た行事)で家族が一堂に会することで親族のつながりを強め、同時に収穫への感謝を示します。中国の月餅には「家族団らん」や「健康と平和」の願いが込められています。
韓国:秋夕(チュソク)
- 時期:旧暦8月15日(主に9月の中旬)
- 主な内容:秋夕は祖先供養の意味が強く、韓国では最も大切な祝日の一つです。人々は帰省して先祖の墓参りや祭祀(チャレ)を行い、祖先への感謝を表します。
- 食べ物:ソンピョン(松の葉の香りをつけた餅)や伝統的な韓国料理
- 目的:秋夕は祖先供養と豊作感謝を主な目的としており、先祖に感謝しつつ、家族の結束を深める日として重んじられます。
相違点
- 日本の十五夜は、収穫を感謝し、月見を楽しむことが主な目的です。
- 中国の中秋節は、家族団らんを祝う日として月を眺め、月餅を分け合いながら親族の絆を再確認する行事です。
- 韓国の秋夕は、祖先供養と収穫感謝が大きな目的で、墓参りや祭祀が重視されます。
日本、中国、韓国それぞれの行事は、旧暦の同じ日に祝われますが、文化的な意味や行事の形が異なるのが特徴です。
まとめ
日中韓の秋夕にはそれぞれの特徴がありますが、共通して「感謝」と「家族の絆」が根付いています。現代社会においても、秋夕の意義は変わらず、家族が集まり、共に過ごすことの大切さが重視されています。
日中韓の文化において、秋夕はそれぞれ異なる特徴を持ちながらも、共通のテーマである「感謝」と「家族の絆」が見られます。特に韓国の秋夕は、家族との絆を深め、祖先を敬う重要な文化行事として位置づけられています。
アジアにおける秋夕は、単なる収穫祭ではなく、家族や文化を再確認する大切な機会です。この伝統がこれからも受け継がれていくことでしょう。
次回は韓国の秋夕について深掘りしたいと思いますので、どうぞご期待ください。
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■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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