日本の外国人労働者は近年増加の一途を辿っています。いったいどのような職種に就いているのか、どの国籍の人が多いのかが気になるポイントです。また、どのような職種が人気で将来性があるのかなど把握しておくことで、就職に役立つでしょう。今回は、日本の外国人労働者の就職事情を解説します。
日本で働く外国人は増加し続けている
厚生労働省の調査によると、平成30年の外国人労働者数は1,460,463人。前年の平成29年と比較すると、181,793人増加しています。外国人労働者数は過去最高を更新しました。平成20年と比較すると、約3倍も増加している状況です。
(出典:平成 30 年「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)
外国人労働者数が増加した理由
外国人労働者数が増加した理由は、大きく3つです。1つ目は、受け入れ態勢が整ってきたことです。スキルを持つ外国人や留学生の受け入れが盛んになっています。2つ目は、在留資格を得た外国人にとって就職しやすい環境が整い、就職率が増加したためです。3つ目は、技能実習制度が活用され、積極的に技能実習生の受け入れが行われているためです。
ベトナム人の就労が増加中
日本で働く外国人は、いったいどの国籍の人が多いのでしょうか。1位は中国で、389,117人。日本における外国人労働者数の26.6%を占めています。2位はベトナムで、316,840人です。ベトナムは、前年と比較すると76,581人(31.9%)と大きな増加をみせています。3位はフィリピンで、164,006人。インドネシアやネパールも、年々増加しています。ベトナムの外国人労働者の受け入れ体制を考える企業も多く出てくることでしょう。
(出典:平成 30 年「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)
在留資格からみた外国人労働者の国籍
外国人労働者の在留資格は、身分に基づいた在留資格と、専門技術による在留資格の大きく2つにわかれます。「身分に基づく在留資格」とは、永住者、日本人と結婚した外国人、永住者と結婚した外国人、定住者のことです。「専門的・技術的分野の在留資格」とは、専門的なスキルや資格をもった人です。
(出典:平成 30 年「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)
永住者として生活のために働く国籍は、ブラジルとペルー
「身分に基づく在留資格」として永住者が多い国は、ブラジルは99.0%、ペルー99.1%、フィリピン71.4%です。永住者として日本に住み、生活のために働く人口が多い国籍です。
対して、中国人の在留資格をみてみると、「身分に基づく在留資格」の割合 が 26.7%、「専門的・技術的分野の在留資格」が 26.5%、「資格外活動」が 24.0%、「技能実習」が 21.6%と、平均的なバランスです。永住権を得たもしくは結婚をして日本にいて働く人、スキルをもとに働く人。スキルはないけれど働く、スキルを磨くために働く人が、それぞれ同じ割合でいることが中国人の特徴です。
ベトナム・インドネシアのほとんどは「技能実習」として就職
ベトナムは「技能実習」が 45.1%、「資格外活動(留学)」0が 38.1% を占めている。また、 インドネシアは「技能実習」が 60.0%、ネパールは「資格 外活動(留学)」が 54.6%を占めています。つまり、ベトナム・インドネシア・ネパール国籍の外国人は、インターンや留学、実習としての労働力がほとんどということです。
外国人労働者が一番多いのは「東京」
日本で一番外国人労働者が多い都道府県は、1位が東京で438,775 人。2位は愛知県で151,669 人。3位は大阪で90,072 人です。
(出典:平成 30 年「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)
また、外国人労働者の増加が高い都道府県は、熊本・大阪・鹿児島です。中でも熊本は、前年と比較すると31.2%(2,412 人)増加と、増加率が一番高い県です。大阪も増加が目立っていて、24.7%(17,846 人)増加しているため、これからますます外国人労働者が増加する見込みがあります。
スキルを活かして働くなら「東京」、留学やインターンは「地方」
技術が認められ在留資格を得た外国人労働者のうち、東京で就職した人は31.0%。ついで京都 26.9%、沖縄26.4%です。また、インターンなどスキルを磨きながら働く場合は、宮崎 67.6%、愛媛 66.3%、徳島 65.4%と、九州・宮崎がトップです。留学として在留する場合は、福岡 40.7%、東京 32.4%、佐賀 31.5%と、九州と東京にわかれます。まずは地方でスキルを磨き、東京に上京する人も増えていくことでしょう。
外国人労働者の多くは、製造業に従事
日本の外国人労働者の多くは、「製造業」に就いています。なかでも、これは、電気機械製造・輸送用機械製造において、労働者派遣事業を行う事業所に就労している外国人労働者が多くいるためと考えられます。
また、企業が積極的に外国人労働者を雇用しようという動きが盛んになっているのは、「建設業、宿泊業、飲食サービス業」です。この3つは産業としても伸びている業種であるため、就職を考えるのであれば発展の希望が持てる業種と言えるでしょう。
(出典:平成 30 年「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)
インドネシア国籍が多い製造業
どの業種にどの国籍の人が従事しているのかをみてみましょう。「製造業」に就いている人が多い国籍は、1位インドネシア48.7%。2位ブラジル45.3%。3位ペルー42.0%です。続いて、フィリ ピン39.6%、ベトナム36.4%、中国25.9%という順番です。ネパールは「宿泊業、飲食サービス業」31.5%と、製造業ではない業種に就いているため特徴的な国といえます。
国籍により、働く背景が異なる
日本で働く多くの外国人は、働き方・働く理由が国籍により異なります。就職口が多く、就職しやすいのが製造業。建設業、宿泊業、飲食サービス業は、今後将来性がある業種です。日本は観光地としての人気も高いため、観光客が利用するサービスに関わる仕事も増えていくことでしょう。働く理由は国籍により異なる傾向にありますが、自分がやりたい仕事にチャレンジできる環境が整っていくことが予想されます。
企業の受け入れ体制が整備され、より働きやすい環境へ
日本の外国人労働者数は、増加し続けています。なかでも、近年変化をみせているのはベトナム国籍の人々です。ベトナムからは多くの人材がスキルを磨こうと来日しています。ベトナム国籍の人を中心に、「生活のために働く」という目的ではなく、「日本でスキルを身につけるために働く」という外国人労働者が増加するでしょう。インターンや留学生が増加し、地方・東京を中心に就職口が更に広がっていくはずです。今後、企業側の受け入れ体制もさらに整うことが予想されるため、外国人労働者の層や働き方にも大きな変化があるでしょう。