日本茶器と中国茶器は何が違う?〜古代中国から続く茶の旅路。日中の伝統を学ぶ①

日本と中国の茶器の歴史を比べると、中国のほうが長く、奥深い歴史をもっています。筆者は茶器に触れる機会はあまりありませんが、鄭先生から教わったことや調べた資料を元に整理し、確認していきたいと思います。まだ勉強中ですが、まずは日本と中国の茶器の形やサイズ、使う道具の違いについてご紹介します。

茶器の形の違いとしては、急須(茶壺)の取っ手の位置が挙げられます。日本の急須は注ぎ口から90度の位置に取っ手がある横手式のデザインが一般的ですが、中国の急須(茶壺)は注ぎ口の反対側に取っ手があり、注ぎ口と取っ手が一直線上に配置される後手式が特徴です。また、湯呑み(茶杯)のサイズも違いがあり、中国の湯呑みは日本のものより小さいです。これは中国茶の飲み方や文化の違いによるものです。

さらに、使用する道具として「茶盤」が挙げられます。中国茶では、急須や茶杯にお湯をかけることが多いため、茶がこぼれないように茶盤の上で茶を淹れるのが一般的です。茶盤の上部はすのこ状で、竹や陶器、木製、プラスチック製などさまざまな素材で作られています。大きな茶盤は茶道具を収納するスペースも備えています。

日本と中国の茶器:歴史と文化の変遷を追う

茶器を通して、両国の文化の歴史的変遷をのぞいてみましょう。

中国茶具の歴史

中国の茶器の歴史は非常に古く、紀元前にまで遡ります。茶の栽培とともに茶器も発展してきました。

  1. 紀元前: 茶の飲用は紀元前3000年頃に始まり、最初は薬用として使われていました。茶器の原型もこの頃に登場したとされています。
  2. 唐代(618-907年): 茶が一般に飲まれるようになり、茶碗(茶盞)が広く使われ始めました。
  3. 宋代(960-1279年): 「点茶法」が流行し、粉末茶を使った茶文化が広まりました。この時代に茶碗や急須の使用が増えました。
  4. 明代(1368-1644年): 「泡茶法」(急須で茶葉を抽出する方法)が普及し、紫砂壺(しさこ)などの茶器が発展しました。
  5. 清代(1644-1912年)以降: 茶文化がさらに発展し、多様な茶器が確立されました。蓋碗(がいわん)や高品質の景徳鎮磁器もこの時期に普及しました。

日本茶具の歴史

日本の茶具の歴史は、中国からの影響を受けながらも独自に発展してきました。

  1. 奈良・平安時代(710-1185年): 茶は中国から伝わり、最初は薬として使われていました。茶器も中国からの輸入品が使われていました。
  2. 鎌倉時代(1185-1333年): 茶の飲用が広がり、禅宗とともに抹茶文化が広まりました。日本独自の茶器も作られ始めました。
  3. 室町時代(1336-1573年): 茶の湯の文化が確立し、茶道が発展しました。茶碗や茶筅(ちゃせん)など、基本的な茶道具が整いました。
  4. 安土桃山時代(1573-1603年): 千利休が茶道を大成し、「侘び寂び」を反映したシンプルな茶器が重視されました。この時期に楽焼(らくやき)などが登場しました。
  5. 江戸時代(1603-1868年)以降: 茶道が庶民にも広がり、茶器が多様化しました。煎茶道など新しい流派も生まれ、それに伴い様々な茶器が使われるようになりました。

お茶を楽しむための茶具の基礎知識

茶具の種類と役割

「茶具」とは、お茶を淹れるために使う器具や道具のことです。茶具には、茶葉を入れる容器やお茶を淹れるための器具、お茶を飲むためのカップなどが含まれます。日本と中国では、それぞれ独自の茶具が発展しています。

日本の主な茶具

  1. 急須(きゅうす): 日本茶を淹れるポットで、横に取っ手があり、注ぎ口が急な傾斜になっています。
  2. 茶碗(ちゃわん): 主に抹茶を点てるための広口で浅い器です。
  3. 湯呑み(ゆのみ): 煎茶やほうじ茶を飲むための縦長のカップです。
  4. 茶筅(ちゃせん): 抹茶を泡立てる竹製の道具です。
  5. 茶杓(ちゃしゃく): 茶葉を茶碗に入れるためのスプーンのような道具です。
  6. 茶巾(ちゃきん): 茶碗や急須を拭く布です。

中国の主な茶具

  1. 急須(茶壺、ちゃこ): 中国茶を淹れるポットで、取っ手が注ぎ口の反対側についており、丸い形をしています。
  2. 蓋碗(がいわん): 蓋と碗、受け皿がセットになった茶器で、蓋を使って茶葉を押さえながらお茶を淹れます。
  3. 茶海(ちゃかい): お茶を注ぐためのピッチャーのような容器です。
  4. 茶杯(ちゃはい): 小さなカップで、中国茶を飲むために使います。
  5. 茶盤(ちゃばん): 茶器を置くための台で、お茶がこぼれるのを防ぎます。
  6. 茶則(ちゃそく): 茶葉を扱うための道具です。

「茶具」と「茶器」の違いはありますか?

「茶具」と「茶器」は似たような意味で使われることがありますが、細かい違いがあります。

【茶具】

  • 定義: 「茶具」は茶を淹れるために使用する器具や道具全般を指します。これには急須、茶碗、湯呑み、茶筅など、お茶を淹れる、飲む、扱うためのすべての道具が含まれます。
  • 使用範囲: 茶具はお茶の準備から飲用までの全過程に関わる道具を網羅します。日本茶、中国茶、その他の茶文化においても使われます。

【茶器】

  • 定義: 「茶器」は茶を淹れるための器具に特に焦点を当てた用語で、急須や茶碗など、お茶そのものを直接取り扱うための器具を指します。
  • 使用範囲: 茶器はお茶を淹れるための「器」に限定されることが多く、例えば日本茶の急須や中国茶の蓋碗など、お茶を直接扱うための道具に使われます。

【違いの要約】

  • 茶具は広義に、茶を淹れるための道具全般を含む用語で、道具の全体像を指します。
  • 茶器は茶を淹れるための具体的な器具に特化した用語です。

つまり、「茶具」は茶器を含む、より包括的なカテゴリーを指し、「茶器」はその中でもお茶を直接取り扱う器具を指します。

中国茶具ガイド:初心者向けの基本

中国茶具に興味を持っている初心者の方へ、基本的な茶具の名称について簡単にご紹介します。

  1. 主泡器(しゅほうき):主要な泡茶用の器具
  2. 輔泡器(ほほうき):泡茶の補助器具
  3. 備水器(びすいき):水を準備するための器具
  4. 貯存器(ちょぞんき):茶葉などを保存する器具
  5. 茶盤(ちゃばん):茶器を置くための盤
  6. 随手泡(ずいしゅほう):ティーポット
  7. 茶壺(ちゃこ/きゅうす):急須
  8. 壺承(ここう/きゅうすおき):急須置き
  9. 茶杯(ちゃはい):茶碗。「品茗杯(ひんめいはい)」とも呼ばれます
  10. 盖碗(がいわん):蓋碗(がいわん)または「三才杯(さんさいはい)」とも呼ばれます
  11. 公道杯(こうどうはい):茶杯。「茶盅(ちゃちゅう)」とも呼ばれます
  12. 茶漏(ちゃろう):ティーストレーナー
  13. 闻香杯(ぶんこうはい):アロマカップ
  14. 茶巾(ちゃきん):ティータオル
  15. 茶道六君子(ちゃどうろっくんし):茶道の六つの主要器具
  16. 茶荷(ちゃか):ティーローダー
  17. 茶罐(ちゃかん):茶筒
  18. 废水桶(はいすいおけ):廃水用のバケツ
  19. 建水(けんすい):別名茶盂(ちゃう)、廃水盂(はいすいう)。泡茶の過程で出る廃水や茶渣(ちゃさ)を入れるために使用します。廃水桶や茶盤と似た機能があります。
  20. 普洱刀(ぷあるとう):別名茶刀(ちゃとう)。緊圧茶(きんあつちゃ)の葉を取り出すための道具で、特に普洱茶(ぷあるちゃ)に使われます

まとめ

茶具は単なる道具ではなく、それぞれの茶文化や習慣を反映した重要なアイテムです。

お茶を楽しむ体験を豊かにし、お茶の質を高めるために工夫されています。

次回は、初心者向けに中国の茶具の基本的な知識とその用途についてご紹介します。

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■ライタープロフィール
名前:姜春姫(きょう・しゅんき)女性
「医・職・住」ラボでは、グローバルな視点で、日本と中国との高齢者が直面する医・職・住の問題を提起し、特に日本に住んでいる外国人の問題を提起する。
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