中国における大学の新卒者は、30年程前まで自分の意志で就職先を見つけ面接試験を受けることはできなかった。国が就職企業を指定し、学生は従うしかなかった。その頃は外資の導入を開放し、日本をはじめ海外からの投資企業が一気に増え始めた頃で、中には外資に勤めたい新卒者もいて、その場合は罰金を支払い国からの指定企業を辞退し、外資系に勤めることが可能になった時代でもあった。それから30年の年月を経て経済の改革開放が進展し、今やGDP世界第二位の地位に至り、大学卒者・院修了者の就職活動も大きく様変わりをしている。
溢れる新卒者
中国国内の比較で、大学ランキングとして、中国科学技術部中国科学技術信息研究所の調査結果がある。総合順位は 1位:北京大学 2位:清華大学 3位:浙江大学 4位:復旦大学 5位:上海交通大学 がベスト5として名を連ね、中国では国家重点大学として112校が全国で指定され、2000年には1,041校の高等教育機関数だったのが、2016年には2,596校にまで増加している。2001年に卒業生数が100万人を超え、2018年では800万人超えをしているのが、中国での大学卒業生の現状である。因みに日本では、2000年に649校の高等教育機関数が、2016年には780校になっているが、日本は微増の状態にある。大学が増えることは中国経済に必要とされるものであり、なにより日本の10倍以上の人口の存在が高等教育機関数に表れている。
就活の違いは、伝統の日本と革新の中国
1919年4月、日本国政府は「大学令」を施行し、大学と学生を増やす改革を行った。しかし関東大震災などによる大不況で、就職を希望する学生が企業に殺到し、企業各社では入社試験や面接を行う選抜採用方式を採るようになった。これが日本における新卒の一括採用の始まりといわれる。ちょうど100年前のことになる。企業側は、門戸を開くことによって自社に優秀な人材を集めることが企業成長への基本と考え、企業側人事と大学側就職指導の攻防が積み重なって、今日の新卒一括採用方式が定着した。これは、ほぼ大企業に限定される。日本の就活が外国人の目から見ると羨ましいと見る人もいれば、学生にやさしいと見る人もいる。日本が新卒の一括採用を行ってきたことは、企業が経済成長を続け、安定した経営を行ってきたからこその結果でもある。就活におけるアンケート調査で、日本人学生平均15社、中国人学生7社と出ていた。この差が何を意味しているのかを考えてみる必要がある。
中国語および中国コミュニティを必要とする日本企業
日本企業への就職を希望する中国人留学生は年々増加傾向にある。特に日本の地方企業では東京で募集しても人材が集まらず、今や中国国内まで出向き、現地での採用試験・面接を行い、採用を決定する日本企業も増えている。中国語ができて英語ができて日本語ができる中国人の卒業生または卒業予定者を採用する方が、日本語しか話せない日本人大学生を採用するより企業メリットを考えれば有利な企業が日本の地方には多く存在している。待遇や出世も日本人を凌ぐ中国人が増加しているのも現状で、日本には、中国語および中国コミュニティを必要とする日本企業が益々増えてきている。
いつのまにか増えてる中国人留学生
日本学生支援機構の発表では、平成30年度(2018年度)外国人留学生在籍状況調査によると2018年5月時点での日本における中国人留学生数は114,950人で、前年度の107,260人と比べて7.2%(7,690人)増加した。中国人留学生は、海外から日本への留学生数の38.4%(前年度40.2%)を占めているが、構成比で4割を下回るようになってきた。国別留学生数は中国(114,950人、構成比38.4%)に次いで第2位はベトナム(72,354人、構成比24.2%)、第3位にはネパール(24,331人、構成比8.1%)となっている。上位3ヶ国の構成比で70.7%、7割を超す異常事態となっている。また、日本語教育機関(専修学校を除く)では、ベトナムが30,271人(前年度26,182人)へと増加し、中国の28,511人を抜いて留学生国別で第1位に昇り詰めている。